カンジダ

概要

カンジダ・アルビカンスという菌に感染をし発症します。健康な人の皮膚や口内、膣、消化管などに存在する真菌(カビの仲間)で、常在菌の1種といわれています。性交渉により発症することが知られていますが、ほとんどは常在菌による自己感染が原因といわれています。抗生剤使用後や風邪など免疫力低下後、ホルモンバランスの変化などでカンジダ菌が異常に増殖し他の常在菌とくらべて優位になることで症状が出現することが多いです。女性では頻繁にみられることがあります。

潜伏期間

感染から症状が出るまで1日~1週間(常在菌のため、潜伏期間ははっきりとしないことが多いです)

検査可能時期

感染機会の翌日から

感染部位

尿道、膣、口腔

感染経路

膣性交により感染をしますが、感染の原因として自己感染がほとんどとなります。

性的な接触がなくても、体調や抗生剤の影響、湿りやすい締め付けの強い下着、洗いすぎ、糖尿病やHIVでの免疫力低下、などで発症することがあります。

症状

男性:発症は少なく、症状が軽く気づかないことも多いです。亀頭や陰茎の周囲に白いカスが出たり、亀頭包皮炎(かゆみや、赤み、ただれ、腫れ、かさつきなど)、尿道炎(かゆみ、違和感、軽い排尿時痛など)の症状が出現します。亀頭包皮炎は一般細菌との鑑別が必要となります。尿道炎については他の性感染症(クラミジア、淋菌、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、膣トリコモナス)と症状が似ているため、検査での鑑別が必要となります。包茎の場合は皮の中で雑菌が増殖しやすいため、しっかりと洗い落とせないことから感染リスクが高いです。

女性:膣および外陰部で症状が出現します。おりものの量が増え、ヨーグルト・チーズ状の白いカスが出る、外陰部や膣の強いかゆみ、外陰部の腫れ、排尿時痛、性交時痛などが出現します。

男性では亀頭包皮炎の原因としてカンジダを疑って受診することが多いですが、ブドウ球菌や溶連菌などの細菌が原因となることが多く、可能であれば顕鏡法などでの検査を行い鑑別を行いつつ、他の性感染症も念頭におき検査を進める必要があります。

女性ではおりものの性状の変化でカンジダを疑ってクリニックを受診することが多いですが、他の性感染症が原因となっている場合では、検査による確定診断をせずにカンジダとしての治療をするものの、症状が改善せずにクリニックを変えるいわゆる「ドクターショッピング」を繰り返すことでなかなか治癒できない場合があります。他の性感染症も念頭に置いた検査と治療を進めていく必要があります。

白いカスをとっても完治はせず、異常繁殖をしたカンジダと他の常在菌のバランスが整った状態となる必要があります。また、症状は自然治癒することがあります。

膣以外でもカンジダの症状が出現することがあります。長期の抗生剤やステロイドの使用、免疫不全状態(HIVなど)、高齢者で起こる口腔カンジダ、指間や股部などのしめった部位での皮膚カンジダ、男性の口周りや顎など剃毛が刺激となり起こる毛包炎型カンジダを起こすことがありますが、常在菌ゆえに起こる感染症となります。

検査および治療

検査は検体を顕微鏡で観察する顕鏡法、検体を培養する培養法、核酸増幅検査が行われます。

「男性では尿や皮膚擦過物(綿棒で擦りとった検体)、女性では膣ぬぐい液(膣分泌液)、皮膚擦過物」の検体で検査を行います。

治療は抗真菌薬の内服、外用薬となります。女性の場合は膣錠を使用します。

女性では基本的に膣錠とクリームでの治療となりますが、症状が強い場合や難治性時は内服薬の治療も行う場合があります。原因がカンジダではなく、一般細菌や他の性感染症による場合もあるため、未検査時は性感染症の検査を行う必要があります。皮膚症状や男性の亀頭包皮炎でのかゆみなど炎症が強い場合はステロイドの外用も併用することがあります。

治癒確認は検査は行わず(常在菌のため検査をし検出されたとしても意味があまりないため)、症状の消失となります。