性病の症状
性病の代表的な症状
性病では性器や性器周辺だけでなく全身症状が出現する場合もあります。また、潜伏期間の違いからタイミングをずらして症状が出現するといった混合感染により多彩な症状を示す場合もあります。
男性、女性共通
性器や性器周辺の痛み(排尿痛、性交時痛、性器、睾丸などの痛み)
性器や性器周辺のかゆみ(性器と陰部周辺、尿道、膣などのかゆみ)
性器やその周辺の腫れ(性器、睾丸、亀頭、太ももの付け根などの腫れ)
女性特有
男性特有
性器や性器周辺の痛み(排尿痛、性交時痛、性器、睾丸などの痛み)
性器や性器周辺の痛みは性感染症が原因となることが多く、軽度であっても新たな性的接触がある場合など心当たりがある場合は性感染症の可能性があります。以下のような性病の可能性がありますが、診断のためには検査を行う必要があるため、受診をし診察を受ける必要があります。
クラミジア:症状は軽度のことが多く、男性では軽い排尿時痛や女性では軽い排尿時痛、性交時痛などが出現する。
淋菌:男性では激しい排尿時痛、女性では軽い排尿時痛、性交時痛が出現する。
膣トリコモナス:男性では軽い排尿時痛、女性では外陰部や膣、その周囲の痛みや排尿時痛が出現する。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ:クラミジアに似た症状が出現し、検査をしないと鑑別が難しい。
ヘルペス:水疱や水疱がつぶれたただれができ激しい痛みがでる。
性器カンジダ症:排尿時痛や、性交時痛が出現することがある。
一般細菌:大腸菌などの一般細菌が尿道炎を起こすことで排尿時痛や性交時痛を起こす。
性器や性器周辺のかゆみ(性器と陰部周辺、尿道、膣などのかゆみ)
クラミジア:症状は軽度のことが多く、男性、女性ともに軽いかゆみや違和感などが出現する。
淋菌:男性では尿道のかゆみや熱感があるが強い痛みが優位、女性では軽い外陰部のかゆみが出現する。
膣トリコモナス:男性では軽い尿道のかゆみ、女性では膣やその周辺の強いかゆみが出現する。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ:クラミジアに似た症状が出現し、検査をしないと鑑別が難しい。
ヘルペス:かゆみや違和感、強い痛みを伴う水疱が性器とその周辺に出現する。
性器カンジダ症:男性では尿道炎や亀頭包皮炎のためかゆみ、女性では性器周辺のかゆみや発疹が出現する。
一般細菌:大腸菌などの一般細菌が男性では亀頭包皮炎、女性では細菌性膣炎をおこしかゆみをおこす。
毛じらみ:陰毛周辺部分のかゆみが出現する。
性器やその周辺の腫れ
クラミジア:男性では精巣上体炎のため、腫れることがある。
淋菌:精巣上体炎のため、腫れることがある。
膣トリコモナス:男性では軽い尿道のかゆみ、女性では膣入口部が腫れることがある。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ:クラミジアに似た症状が出現し、検査をしないと鑑別が難しい。
ヘルペス:初回感染で鼠径部のリンパ節(ふとももの付け根)の腫脹と圧痛が出現する。
性器カンジダ症:男性では亀頭包皮炎のため腫れ・かゆみ、女性では外陰部の腫れ・かゆみや発疹が出現する。
一般細菌:大腸菌などの一般細菌が男性では亀頭包皮炎、女性では細菌性膣炎を腫れ・かゆみをおこす。
梅毒:1期の症状として鼠径部リンパ節(ふとももの付け根)が無痛性で固く腫れることがある。
尿道からの膿
クラミジア:男性では漿液性(さらさらとしている)の膿が出ることがある。
淋菌:男性では白い膿が出てくる。
膣トリコモナス:男性では軽い尿道のかゆみと膿が出ることがある。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ:クラミジアに似た症状が出現し、検査をしないと鑑別が難しい。
性器カンジダ症:稀ではあるが尿道炎をおこすと透明でさらさらとした分泌物が出現することがある。
性器や肛門周囲のただれ、いぼ、ぶつぶつ
尖圭コンジローマ:性器や肛門周辺の皮膚、粘膜にトサカ状の痛みやかゆみのないいぼが出現する。
ヘルペス:性器や性器周辺、肛門周辺に痛みを伴う水膨れ(赤いぶつぶつ)やただれが出現する。
膣トリコモナス:男性では軽い尿道のかゆみと膿が出ることがある。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ:クラミジアに似た症状が出現し、検査をしないと鑑別が難しい。
梅毒:3週間ぐらいで感染した部位に初期硬結といわれる無痛性のにきびのようなしこりができる、しこりが破れて硬性下疳といわれる無痛性の潰瘍のようなただれが出現する。3か月後ぐらいで全身に膿を含んだ白~黄色のいぼのような発疹が出現する(膿疱性梅毒)
喉や唇周囲の痛み、違和感、できもの
クラミジア:咽頭への感染を起こすと無症状の場合が多いが、喉の腫れや痛み、発熱などが出現することがある。
淋菌:咽頭への感染を起こすと無症状の場合が多いが、喉の腫れや痛み、発熱などが出現することがある。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ:クラミジアに似た症状が出現し、検査をしないと鑑別が難しい。
ヘルペス:初回感染で咽頭感染を起こすと喉の痛みや嚥下時痛、発熱、口腔内アフタ、扁桃の腫れなどが出現する。再発時はのどの痛みなど。
尖圭コンジローマ:口腔内、咽頭にも感染することがあり、痛みやかゆみのないいぼが出現する。
梅毒:3週間ぐらいで感染した部位に初期硬結といわれる無痛性のにきびのようなしこりができ、しこりが破れて硬性下疳といわれる無痛性の潰瘍のようなただれが出現する。
発熱、頭痛、筋肉痛などの全身症状
HIV/AIDS:発熱、咽頭通、倦怠感、筋肉痛などインフルエンザに似た症状が感染後2~4週間の間に初期症状として出現する場合がある。
A型肝炎:急性肝炎として倦怠感、食欲不振、黄疸、発熱、筋肉などの症状が出現することがある。
B型肝炎:急性肝炎として倦怠感、食欲不振、黄疸、発熱、筋肉などの症状が出現することがある。
C型肝炎:急性肝炎を起こすことは20~30%程だが、倦怠感、食欲不振、黄疸、発熱、筋肉などの症状が出現することがある。
クラミジア:咽頭への感染を起こすと無症状の場合が多いが、喉の腫れや痛み、発熱などが出現することがある。男性での精巣上体炎や女性での骨盤腹膜炎(強い腹痛、発熱を伴う)で出現する場合もある。
淋菌:咽頭への感染を起こすと無症状の場合が多いが、喉の腫れや痛み、発熱などが出現することがある。男性での精巣上体炎や女性での骨盤腹膜炎(強い腹痛、発熱を伴う)で出現する場合もある。
梅毒:2期(3か月~)で発熱、関節痛などの風邪のような症状が出現する。
おりものの異常(におい、色調、量)
クラミジア:症状が無いことが多いが、おりものの増加や黄白色~黄緑色と色調が変化することがある。子宮頚管炎のため血液まじりの茶色味がかった色調になることもある。
淋菌:症状が無いことが多いが、おりものの増加や黄白色~黄緑色と色調が変化することがある。子宮頚管炎のため血液まじりの茶色味がかった色調になることもある。
膣トリコモナス:悪臭の強い、泡沫状のおりものが大量に出現する。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ:淋菌:症状が無いことが多いが、クラミジアと同様の症状を呈することがある。
性器カンジダ症:白色のヨーグルト状のおりものが出現する。アミン臭はない。
一般細菌:おりものが灰色になり、においをともなう。量はそこまで増加はしない。
亀頭包皮炎
亀頭や包皮のかゆみ、痛み、赤み、ただれなどの症状が出現します。性病以外でも発症し、発症する年齢・原因は多岐にわたります。多くは亀頭と包皮の間のカス(恥垢)が貯まり、カスに細菌や真菌が増殖をし感染を起こします。洗いすぎや摩擦などで小さな傷がつき、そこから感染を起こすこともあります。包茎があると包皮内でカスが貯まりやすくなり、尿で湿り原因菌が繁殖しやすい環境となり亀頭包皮炎になりやすいといわれています。糖尿病がある場合は糖を含んだ尿が亀頭やその周囲に付着して原因菌が増殖しやすくなります。ダイエット目的でのSGLT-2阻害薬(フォシーガやカナグルなど)を服用していると発症することがあるため、繰り返す場合は中止した方が良い場合があります。強くごしごしと洗うことで洗いすぎによる刺激によって炎症が悪化してしまう可能性がありやさしく洗うことが大事になります。
原因と特徴
細菌性亀頭包皮炎
大腸菌やブドウ球菌などの一般細菌が原因となります。亀頭や包皮が赤く晴れ、黄色の膿が出てきます。亀頭包皮炎の90%が細菌性といわれています。
カンジダ性亀頭包皮炎
カンジダは常在菌のためストレスや免疫が落ちた際の自己感染やパートナーからの感染で発症する場合があります。亀頭のかさつきやかゆみ、ただれなどが出現し、白色のカスがでてきます。
細菌とカンジダの混合感染をおこすこともあります。
細菌性亀頭包皮炎の分類になりますが、その他の原因として、オーラルセックス(フェラチオなど)により咽頭の溶連菌が感染を起こす場合やクラミジアや淋菌といった性感染症が原因となる場合もあります。
皮膚や粘膜から検体をとり、培養検査を行い原因菌を特定する検査を行います。抗真菌薬は細菌性カンジダには全く効果はないため、原因がはっきりとしない状態での治療を行うと症状が長引き、悪化する可能性があります。性感染症が疑われる場合は性病検査も実施します。
細菌性の亀頭包皮炎であれば抗生剤の外用(ゲンタマイシン軟膏など)や内服での治療を行います。カンジダが原因の際は抗真菌薬の外用や内服を行います。性病が原因の場合は性病に準じた治療を行います。