スレッドリフト(糸リフト) / ショッピングスレッド
スレッドリフトは糸を皮下に挿入する施術です。大きく分けて、コグ(ひっかかり)のついた糸で組織を引き上げる働きのあるスレッドリフト(糸リフト)とコグのない皮下でのコラーゲン生成を目的としたショッピングスレッドに分かれます。多くは体内で吸収される糸が使用されますが、非吸収糸や金の糸など体内に残る糸で施術が行われることがあります。
当院では、吸収糸のうちPDOといわれる成分を使用した糸でのスレッドリフトとショッピングレッドの施術を行っております。
スレッドリフト(糸リフト) / ショッピングスレッド
スレッドリフト(糸リフト)
スレッドリフトは、溶ける糸(吸収性の糸)を皮下に挿入して、コグをひっかけることでたるみを物理的に引き上げると同時に、糸の周囲でコラーゲン産生を促し、肌のハリ・弾力を高める治療です。メスを使わない“切らないリフトアップ”の施術で、フェイスラインのもたつき・ほうれい線・マリオネットラインなどの改善効果が期待できます。
施術時間は30~60分程度で、ダウンタイムが比較的短いのが特徴です。
施術の直後からフェイスラインの引き上がり感を実感しやすい施術となりますが、ほうれい線については骨格が原因で目立つ場合や頬のコケなどはヒアルロン酸などのボリュームを補う治療の併用によってより効果が期待できます。
糸の種類
吸収糸にはPDO(ポリデオキサノン)、PLA(ポリ乳酸)、PCL(ポリカプロラクトン)があります。最終的にはすべて体内に吸収されていきますが、吸収に要する時間や強度は異なります。糸が生体に加水分解され吸収されるまでに必要な期間は、PDOは6~12ヵ月、PLAは12~18か月、PCL18か月~となります。糸の材質による効果や持続時間の違いもありますが、施術者のデザインも大きな要素となります。
当院では、PDOの糸のみ取り扱いをさせていただいています。
他施術との併用
スレッドリフト後、特に2~3カ月は糸のコグに組織がひっかかり効果実感が強い時期になります。施術後1~2カ月時に脂肪が多めの方ではリニアハイフ、皮膚のたるみ感が強い方では高周波でのタイトニングがおすすめです。
ボリューム減少がある場合では、ヒアルロン酸やレニスナといったボリュームを増やす施術。ボリュームが多い(ほうれい線の上や顎下、口横など)場合では、脂肪溶解注射で脂肪を減らす施術。筋肉の動きによりシワが強めに目立つ場合ではボツリヌストキシン注射。といった施術の併用もおすすめです。
施術の流れ
カウンセリング
スレッドリフトは診察によりたるみの状態を確認し、施術部位と使用する糸の本数を決定します。たるみの原因がボリュームの減少によるものの場合では、レニスナやヒアルロン酸の施術をご案内させていただく場合もあります。
特にほうれい線のみが気になる場合では、たるみだけではなくボリューム減少やボリュームが多い場合、骨格的な影響、筋肉の動きが原因の場合ではボリュームを補う治療(レニスナ、ヒアルロン酸)やボツリヌストキシン注射、ボリュームを減らす治療(脂肪溶解注射)のご案内をさせていただきます。
麻酔
施術の際の痛みを最小限に抑えるために、麻酔が行われます。糸の刺入部に鋭針を使用し局所麻酔を行い、糸の挿入部位にカニューレを使用し局所麻酔を行います。クリニックによっては、笑気麻酔を併用する場合もあります。
当院では笑気麻酔の用意はありませんが、最大限痛みに配慮をし施術を行います。
針の刺入
局所麻酔は2~3分程で徐々に効いていきます。マーキングをした糸の通り道に糸が装着されたカニューレを皮下に進めていきます。皮下には血管や神経が走行しているため、針は慎重に皮下を進めていきます。固定位置まで進めたところでカニューレ針を抜き、糸を皮下に固定をし組織を引き上げます。
施術時間自体は、通常15分から30分程度で終了します。
圧迫とアフターケア
針の刺入部や通り道から出血することがあります。施術後からじわじわと出ることもあるため、少量でも出血がある際は念のために長めの圧迫を行い、出血を最小限になるようにします。
アフターケアはクリニックにより異なります。当院では当日からシャワーは可能ですが、針の刺入部を避ける必要があるため、洗顔と洗体は当日可能ですが、洗髪は翌日以降となります。入浴やサウナ、激しい運動、アルコール摂取など、血行を促進する行為は施術当日は控えていただき、入浴やアルコールは翌日以降可能ですが、激しい運動やサウナは施術から1~2週間経過してからをお願いしています。メイクや日焼け止め、スキンケアは、刺入部を避ければ当日から可能です。腫れや内出血が生じる可能性がありますが、通常数日から2週間程度で自然に改善します。血腫になってしまうと吸収されるまで1か月程の期間を要する場合があります。痛みやツッパリ感は施術から1週間程続くことがあります。大きく口を開けると糸のひっかかりがずれてしまうことがあるため腫れが落ち着く1週間までは口を大きく開けたり顔をうつ伏せで圧迫したりは避けてください。
稀に糸が露出する場合や感染、アレルギーを起こすことがあります。治療後、糸が出ている場合は施術をしたクリニックへ連絡を行い抜去もしくは露出部分の切除を行います。唾液腺や血管、神経を損傷する可能性もあり、損傷時は痛みや腫れが長引くことがあります。赤みや腫れ、痛みが長引く場合は施術を行ったクリニックへの確認が必要となります。
ショッピングスレッド
ショッピングスレッドは、肌の若返りやたるみ改善を目的とした治療法です。髪の毛よりも細い極細の吸収性医療用糸(溶ける糸)が装着された特殊な針を使用します。これらの針を皮膚に多数刺入し、針を抜く際に皮下組織に糸のみを留置させます 。留置された糸は、加水分解される過程で皮下組織に対して持続的な刺激を与え、その刺激により線維芽細胞が活性化されコラーゲンの生成が促進されます。
使用される糸は、PDO(ポリジオキサノン)と呼ばれる素材が多く使用されます。この素材は外科手術における血管縫合などにも用いられる、安全性の高い吸収性の糸です。PDO糸は、体内で約6ヶ月から8ヶ月かけて徐々に吸収されるため、異物が体内に残る心配が少ないとされています。
多数の短い糸を格子状に皮下組織に留置することで、コラーゲンの生成を促し、肌の内側から自然に引き締め、組織をサポートする点が、この治療法の大きな特徴となります。
施術の流れ
カウンセリング
ショッピングスレッドは診察によりたるみの状態や肌質を確認し、施術部位と使用する糸の本数を決定します。治療部位は一般的には頬やフェイスライン、顎下が適応部位となります。額や目の下、こめかみなども行うことがありますが強い痛みや内出血が出やすい部位となります。
麻酔
施術の際の痛みを最小限に抑えるために、麻酔が行われます。施術部位に表面麻酔クリームを塗布し、麻酔が効果を発揮するまで約20分から30分程度待ちます。クリニックによっては、笑気麻酔を併用する場合もあります。極細の針を使用するため、麻酔なしでも施術が可能である場合もありますが、本数が多い場合や痛みに弱い場合では麻酔の使用がおすすめとなります。
針の刺入
麻酔が効いた後、麻酔を拭き取り治療を行っていきます。麻酔の前もしくは後で、医師が治療部位を必要に応じてマーキングを行い、そのマーキングをベースにして、極細の針に装着された吸収糸を皮下組織に丁寧に刺入していきます。針を皮膚から抜くと同時に、糸のみが皮下組織に留置される仕組みとなっています。挿入する糸の本数はカウンセリング時に決めていきます。施術時間自体は、通常15分から30分程度で終了します。留置された糸は、皮下組織内に格子状に組まれることが多いです。格子状に挿入することで肌の内部からたるみを自然に支え、引き締める効果が期待できるといわれています。
圧迫とアフターケア
ショッピングスレッドは多数の針を刺す治療のため、内出血が出やすい治療となります。針を抜いた際に、血腫や内出血が拡大しないようしっかりと圧迫を行います。
アフターケアとしては、当日からシャワーは可能ですが、入浴やサウナ、激しい運動、アルコール摂取など、血行を促進する行為は数日間控えるよう指示されることが多いです。メイクや日焼け止め、スキンケアは、翌日から可能な場合が多いです。腫れや内出血が生じる可能性がありますが、通常数日から1週間程度で自然に改善します。血腫になってしまうと吸収されるまで1か月程の期間を要する場合があります。
稀に糸が刺入部から露出する場合や感染、アレルギーを起こすことがあります。治療後、糸が出ている場合は施術をしたクリニックへ連絡を行い抜去をするか、確認をした上で自己抜去することがあります。赤みや腫れ、痛みが長引く場合は施術を行ったクリニックへの確認が必要となります。
期待される効果
ショッピングスレッド治療によって期待される効果は多岐にわたりますが、スレッドリフトのような直接的なリフトアップ効果ではなく引き締めによるリフトアップ効果のため、イメージしていた施術と異なることがあります。
自然なリフトアップ効果と引き締め効果
たるんだフェイスラインや頬、口元のもたつき感を改善し 、顔全体として小顔に見える効果が期待できます。また、年齢とともに目立ちやすくなるほうれい線やマリオネットラインの改善にも効果が期待されています。ショッピングスレッドは、糸リフト(スレッドリフト)のような引き上げ効果よりも、自然な引き締め効果と、将来的なたるみの予防を主な目的としています。
美肌効果
挿入された糸が皮下組織を持続的に刺激をすることで、コラーゲンやエラスチンの生成が促進され、肌のハリや弾力が高まります。針の刺激も加わり、肌の代謝や血行が促進される効果も期待できます。引きしめ効果により将来的な肌のたるみを予防する効果もあるといわれています。
効果の持続期間
効果の持続期間は、一般的に6ヶ月から1年半程度とされています。糸が体内に吸収された後も、生成されたコラーゲンの効果により、ある程度の期間は効果が持続すると考えられています。より効果を持続させるためには、年に1回から2回程度の施術を定期的に行うことが推奨されています が、効果の持続期間には個人差があり、挿入する糸の本数によっても変わることがあります 。
効果が現れるまでの期間としては、施術直後から肌の引き締まり感や、施術部位がすっきりと感じられることがありますが、腫れにより変化を感じられないこともあります。コラーゲン生成による効果は、施術後1週間から3ヶ月程度の期間を経て徐々に現れていきます。
スレッドリフト(糸リフト)とショッピングスレッドの比較
ショッピングスレッドと一般的なスレッドリフト(糸リフト)は、どちらも糸を用いたたるみ治療ですが、その治療方法や期待される効果にはいくつかの違いがあります。
治療方法の違い
使用する糸の種類が挙げられます。ショッピングスレッドは、トゲ状の引っかかり(コグ)のない短く細い吸収性の糸を使用し、皮膚の比較的浅い層に多数の糸を挿入するのに対し、スレッドリフトでは、トゲ状の引っかかり(コグ)のあるより長く太い糸を使用し、皮下組織の深い層に数本の糸を挿入して物理的にたるみを引き上げる方法となります。ショッピングスレッドは、美容鍼のように比較的気軽に受けられる治療法として考えられることが多いです 。
期待される効果の違い
ショッピングスレッドは主に肌の引き締めや肌質の改善を目的としており、より自然なリフトアップ効果をもたらします 。一方、スレッドリフトは、より顕著なリフトアップ効果を発揮し、その効果の持続期間も比較的長い傾向があります。スレッドリフトは、たるんだ皮膚を物理的に持ち上げることを主な目的とするのに対し、ショッピングスレッドは、挿入された糸によるコラーゲン生成を促進し、肌の土台を内側から整えることで引き締め効果を発揮する治療となります。
リスクの違い
ショッピングスレッドは一般的にダウンタイムが短く、施術後の腫れは比較的少ないといわれていますが、刺入する針の本数が多いため、内出血はしやすい治療法となります。一方、スレッドリフトは、使用する糸が太く、皮下組織をより深く持ち上げるため、施術後に腫れや痛みなどのダウンタイムが比較的長く続く場合があります。
どちらの施術でも、感染のリスクは存在するため、施術を受ける際には施術時の消毒や手技、アフターケアが重要となります。
費用の違い
一般的に、ショッピングスレッドの方がスレッドリフトよりも費用が抑えられることが多いです。スレッドリフトは、使用する糸の種類や本数、医師の技術レベルなどによって費用が高くなる場合があります。
| ショッピングスレッド | スレッドリフト | |
|---|---|---|
| 治療の目的 | 引き締め、肌質改善 | リフトアップ、たるみ改善 |
| 糸の種類 | 細い吸収糸、コグなし | 太い吸収糸または非吸収糸、コグ付き |
| 挿入方法 | 皮膚の比較的浅い層に多数挿入 | 皮下組織の深い層に数本挿入 |
| 主な効果 | 自然な引き締め、肌のハリ・ツヤ向上 | リフトアップ |
| 効果の持続期間 | 約6ヶ月~1年程度 | 約1年程度 |
| ダウンタイム | 内出血が出やすい | 比較的長い |
| 費用 | 比較的低い | 比較的高い |
ショッピングスレッドの治療は、細い吸収糸を用いた、比較的ダウンタイムの短い施術であり、主な効果として、肌の引き締め、ハリ感の向上、小じわやたるみの改善、肌質改善などが期待できます。効果の持続期間は一般的に半年から1年半程度であり、効果を持続させるためには定期的なメンテナンスがおすすめとなります。施術直後から効果を実感できる場合もありますが、コラーゲン生成による効果は徐々に現れていきます。
スレッドリフトは、より強力なリフトアップ効果を求める場合に適しており、効果の持続期間も比較的長いため、しっかりとした変化を希望する場合はスレッドリフトの方が適しています。