オビソート注射、アイオジピン点眼
どちらもボツリヌストキシン注射が効きすぎた場合や拡散によって眼瞼挙筋に作用してしまった際に使用される薬剤です。
ボツリヌストキシン注射が周囲の筋肉へ拡散してしまい意図しない筋肉へ作用してしまったときや片側でしか十分な効果が得られていないときは表情の左右差が生じてしまう場合があります。他の表情筋が代償的に過活動となっている場合や片側で効きが不十分な場合ではオビソート注射ではなくボツリヌストキシン注射を注入することによって表情の動きの調整を行います。
オビソート注射(アセチルコリン塩化物)
オビソートと言われる注射は商品名の製剤となり、アセチルコリン塩化物が一般名となります。
ボツリヌストキシンは神経筋接合部の神経終末でアセチルコリンが放出されるのを阻害することで効果を発揮します。オビソートをボツリヌストキシンにより筋肉の動きが抑制されている患部に注射をすることでアセチルコリンを補うことで一時的にボツリヌストキシンの効果を弱め、筋肉の動きを促すことによる回復効果が期待されます。
オビソートによる効果の持続は数日程といわれ、1~2週間の間隔で2~3回行われることが多いです。注入を繰り返し行う経過で、ボツリヌストキシン自体の効果が切れ筋肉の動きが回復していくこともあわさり、回復効果が実感できるようになっていきます。
注意点
個人差やボツリヌストキシン自体が強く効きすぎている場合などではオビソートの注入で効果が得られない場合があります。
気管支喘息やてんかん、甲状腺機能亢進症、消化性潰瘍などがある場合は使用することができません。
アイオジピン点眼(アプラクロニジン塩酸塩)
まぶたのたるみで目の開けにくさがあり額の筋肉を使い目を開けている方(偽性眼瞼下垂)、瞼を開ける筋肉の力が弱い方(眼瞼下垂)で、額や眉間のボツリヌストキシン注射によって前頭筋の動きが強く抑えられてしまい瞼の開けにくさが出現した場合ではオビソートの注入とともに併用することがあります。
稀ではありますが、目尻や眉間のボツリヌストキシンの注入でボツリヌストキシンが眼窩内に浸潤してしまい、眼瞼挙筋に作用してしまった医原性眼瞼下垂時に使用されることがあります。注入から2~7日程で症状が出現しはじめ、2~4週程で自然に改善していきます。
点眼でのアイオジピン点眼を1日2~3回眼内に点眼することで、α2受容体を刺激しミュラー筋を刺激することで眼瞼を開けやすくすることが可能となり効果を発揮します。日常生活に支障がある場合は使用することもあります。