淋菌感染症(淋病)

淋菌感染症(淋病)とは

淋菌感染症は、「ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhoeae)」という細菌によって引き起こされる性感染症(STI:Sexually Transmitted Infection)の1種です。1度の性行為での感染率は30%といわれ、クラミジアと同様に感染率が高い感染症です。感染から症状が出るまで2~7日とクラミジアと比べ短く、男女で症状が異なることが多いです。女性では無症状もしくは軽度のことが多いですが、男性で尿道炎による強い排尿時痛や尿道口からの黄緑色の膿の分泌などの症状を起こします。感染率が高いものの特に女性では自覚症状のない無症候性感染が多いため、知らない間にパートナーにうつしてしまったり、放置して重篤な合併症を引き起こしたりするケースも少なくありません。

淋菌感染者の20~30%はクラミジアとの混合感染をしているといわれています。淋菌はクラミジアと比べて感染から発症までの潜伏期間が短いため、淋菌による症状が先行して出現し、その後クラミジアによる症状が出現する場合があります。そのため、検査結果次第ではクラミジアの治療も同時に行う必要があります。

性感染症に罹患し、性器の粘膜が炎症を起こした状態となるとHIVなど他の性感染症に非常に感染しやすい状態となるため、早期の発見、治療が重要となります。

淋菌は薬剤耐性が問題となっている菌の1つで、以前はペニシリン系抗菌薬が有効といわれていました、現在では耐性を獲得し、テトラサイクリン系およびキノロン系の抗菌薬の耐性株も70~80%を超えているといわれています。有効とされている治療はセフェム系のセフトリアキソンの点滴治療、アミノグリコシド系のスぺクチノマイシンの筋注となりますが、スぺクチノマイシンは咽頭淋病には無効のためセフトリアキソンの単回点滴治療が主に行われます。最近では国内外でセフトリアキソンの耐性株も観察されることもあり将来的にはさらなる難治化も考えられています。

感染をすると、淋菌性尿道炎(男性)、淋菌性子宮頚管炎(女性)、淋菌性咽頭炎(男性・女性)、直腸淋菌感染症(男性・女性)などの病気を起こし、進行すると精巣上体炎(男性)、卵管炎などの骨盤内付属器炎(女性)などを起こし不妊の原因となることがあります。まれに播種性淋菌感染症といわれる血液内に淋菌が侵入し菌血症となり関節炎や心内膜炎、髄膜炎、皮膚症状などの全身症状を呈することがあります。

淋菌性尿道炎(男性)

原因感染経路潜伏期間症状検査可能時期
検査方法検査費用(保険)治療法(保険)治癒費用(保険)治癒確認検査(保険)
原因

淋菌が尿道の粘膜に侵入をし、増殖をし感染することで発症をします。

感染経路

淋菌(ナイセリア・ゴノレア)という細菌が「粘膜どうしの接触」で感染をします。淋菌性尿道炎は感染者の体液(精液、尿道・膣分泌液、唾液など)が粘膜に触れることで、尿道に菌が侵入し増殖することで感染が成立します。

  • 性交(膣性交・アナルセックス・オーラルセックス)
  • 性的な粘膜接触(性器と性器、性器と口、性器と肛門など)
  • 性交類似行為(素股など)でも粘膜が触れ合えば感染の可能性があります

淋菌は環境の変化に弱く生きていくために炭酸ガスを必要とし、乾燥や温度の変化でも死滅するため、体外環境では生存できません。以下のような性行為以外での感染は考えにくいです。

  • 浴槽の共用、温泉、プール、シャワー
  • トイレの便座やウォシュレットの水流
  • ペットボトルやコップの回し飲み、食器の使い回し

手指やタオルを介しての感染が疑われる報告もあるため、感染者の体液が付着した直後に粘膜に接触すると感染する可能性は極めて稀かと思われますが否定できません。

潜伏期間

感染から症状が出るまで2~7日。

症状

排尿時の激しい痛みが出現します。尿道口(尿道の入り口)から多量の黄白色の膿や分泌物が出ます。症状が軽い場合はクラミジア性尿道炎と症状がほぼ変わらないことがあります。

検査可能時期

感染機会の翌日から

検査方法

尿検査を行います。

健康診断で行われる中間尿ではなく初尿(最初に排出された尿)での検査を行います。初尿は、尿道からの分泌物や細胞が多く含まれます。中間尿の場合は尿道内を洗い流した後の尿となるため、淋菌が検出されにくく、偽陰性(本当は陽性なのに誤って陰性と出てしまう)の原因となる可能性があります。

保険診療では核酸検出で保険請求を行えるのが1部位のみとなるため、尿と咽頭(うがい液)の検査を同時に行う場合は全て自費での検査となります。

※即日検査は全て自費の検査となります。イムノクロマト法などを使用したキット検査となり、数十分程で検査結果が出るため、受診当日にすぐ検査、治療を行うことができます(混合診療はできないため、自費での検査の結果治療を行う場合は自費での治療となります)。症状が無い場合やスクリーニングでの検査では感染をしていても陽性と出てこない「偽陰性」の可能性が高いため、スクリーニング検査や治癒確認検査には適していません。

検査費用

初診料・検査費用等で3割負担の場合、自己負担額は2000円台となります。

検査は「核酸検出法(PCR法が多いです)」による検査を行います。PCR法とは淋菌に特異的な遺伝子を増幅させ検出する検査となるため、非常に感度が高い検査となります。

外部機関に委託することが多いため、検査結果が出るまで数日要するため日数はクリニックによって異なります。陽性の場合は淋菌の治療を行っていきます。

治療法

抗生物質での治療になります。セフトリアキソンの点滴治療はクラミジアには効果がないため、検査により淋菌が陽性と診断がついた後に治療に用いられることが多いです。

淋菌が検査で陽性と出るまで数日要するため、来院時には結果が判明していません。来院時に尿道炎に対して抗生物質の飲み薬をエンペリックセラピー(経験的治療)として開始し、淋菌が陽性の結果が出た後にセフトリアキソンの点滴を行うことがあります。

抗生物質(エンペリックセラピー)

アジスロマイシン(先発薬:ジスロマック)250mg  1回4錠    1回のみ

ドキシサイクリン(先発薬:ビブラマイシン)100㎎ 1回1錠・1日2回 7日間

シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 7日間   など

アジスロマイシン・ドキシサイクリン・シタフロキサシンともかつては淋菌に有効な抗菌薬でしたが、近年は耐性化のため治療不成功となることが増え、淋菌感染症の推奨治療薬からは除外されています。

淋菌が検査で陽性と出た際は上記抗菌薬の内服治療で症状が軽減していたとしても完治しない(体内から淋菌を完全に排除できていない)可能性が高いため、下記の治療を行う必要があります。

淋菌への抗生物質

セフトリアキソン(先発薬:ロセフィン) 1回1g   点滴 単回投与

スぺクチノマイシン(先発薬:トロビシン) 1回2g   筋注 単回投与

どちらの治療も1回の治療で完結します。

スぺクチノマイシンは組織移行性の点から咽頭感染時に無効なため、咽頭炎も治療可能なセフトリアキソンでの治療が第一選択となることが多いです。セフェム系のアレルギーがある場合などで使用できない場合はスぺクチノマイシンでの治療が選択されます。

セフトリアキソンやスぺクチノマイシンでの治療でほぼ治るといわれていますが治療成功率は100%ではありません。パートナーへの感染や進行を防ぐために、体内から淋菌がいなくなった「完治」を確認する治癒確認検査を行う必要があります。

治療費用

使用する抗生物質の種類、先発品やジェネリックか、院内処方か院外処方かによって費用が変わります。3割負担で数十円~千円程と大きく変わります。点滴や注射の治療が必要となる場合は3割負担で千円程となります。

郵送検査、他院での検査(自費、保険問わず)で検査結果が陽性の場合、治療は保険で可能となりますが、本人の検査結果かどうかがわかる、氏名が明記された検査結果を持参の上受診が必要となります。治療費用は上記の薬代と初診料等で上記金額に加えて千円程となります。

治癒確認検査

淋菌の治療後2~3週間後に治癒確認検査を受け、体内から淋菌がいなくなった「完治」になったかの確認を行いましょう。

治療終了後すぐに検査を受けてしまうと、治っている状態であっても菌の死骸が検査で検出されてしまうことで陽性とでてしまう「偽陽性」となってしまうことがあります。

治癒確認の重要性

淋菌性尿道炎の治癒をせずに進行してしまうもしくは治療後も治癒確認検査を行わずに体内から完全に排除されずに残存していて進行してしまう(治癒失敗)と、睾丸の付け根あたりの違和感や残尿感、下腹部不快感などの症状が出現する前立腺炎や陰嚢の腫れや痛み、発熱の症状が出現する精巣上体炎の原因となります。

淋菌性子宮頚管炎(女性)

原因感染経路潜伏期間症状検査可能時期
検査方法検査費用(保険)治療法(保険)治癒費用(保険)治癒確認検査(保険)
原因

淋菌が子宮頚管の粘膜に侵入をし、増殖をし感染することで発症をします。

感染経路

淋菌(ナイセリア・ゴノレア)という細菌が「粘膜どうしの接触」で感染をします。淋菌性尿道炎は感染者の体液(精液、尿道・膣分泌液、唾液など)が粘膜に触れることで、尿道に菌が侵入し増殖することで感染が成立します。

  • 性交(膣性交)
  • 性的な粘膜接触(性器と性器、性器と口など)
  • 性交類似行為(素股など)でも粘膜が触れ合えば感染の可能性があります

淋菌は環境の変化に弱く生きていくために炭酸ガスを必要とし、乾燥や温度の変化でも死滅するため、体外環境では生存できません。以下のような性行為以外での感染は考えにくいです。

  • 浴槽の共用、温泉、プール、シャワー
  • トイレの便座やウォシュレットの水流
  • ペットボトルやコップの回し飲み、食器の使い回し

手指やタオルを介しての感染が疑われる報告もあるため、感染者の体液が付着した直後に粘膜に接触すると感染する可能性は極めて稀かと思われますが否定できません。

潜伏期間

感染から症状が出るまで2~7日。

症状

排尿時の違和感や軽い痛みが出現します。おりものの量の増加や性状の変化、外陰部のかゆみ、性交時痛などの症状が出現します。男性の尿道炎と異なり無症状や症状が出ても軽いことが多いです。

検査可能時期

感染機会の翌日から

検査方法

膣ぬぐい液による検査を行います。

綿棒を子宮に入り口に入れ、膣からの分泌物を綿棒で採取して検査を行います。 ご自身での採取が可能で痛みは伴いません。血液が混入してしまうと正確な検査ができなくなってしまうため、生理の時以外での検査となります。

保険診療では核酸検出で保険請求を行えるのが1部位のみとなるため、膣ぬぐい液と咽頭(うがい液)の検査を同時に行う場合は全て自費での検査となります。

※即日検査は全て自費の検査となります。イムノクロマト法などを使用したキット検査となり、数十分程で検査結果が出るため、受診当日にすぐ検査、治療を行うことができます(混合診療はできないため、自費での検査の結果治療を行う場合は自費での治療となります)。症状が無い場合やスクリーニングでの検査では感染をしていても陽性と出てこない「偽陰性」の可能性が高いため、スクリーニング検査や治癒確認検査には適していません。

検査費用

初診料・検査費用等で3割負担の場合、自己負担額は2000円台となります。

検査は「核酸検出法(PCR法が多いです)」による検査を行います。PCR法とは淋菌に特異的な遺伝子を増幅させ検出する検査となるため、非常に感度が高い検査となります。

外部機関に委託することが多いため、検査結果が出るまで数日要するため日数はクリニックによって異なります。陽性の場合は淋菌の治療を行っていきます。

治療法

抗生物質での治療になります。淋菌による子宮頚管炎はクラミジアなど他の菌によるものと症状が似ているため、症状での鑑別が難しいです。セフトリアキソンの点滴治療はクラミジアには効果がないため、検査により淋菌が陽性と診断がついた後に治療に用いられることが多いです。

淋菌が検査で陽性と出るまで数日要するため、来院時には結果が判明していません。淋菌性子宮頚管炎は女性では症状が軽く、クラミジアとの鑑別が症状のみでは難しいため、来院時に尿道炎に対して抗生物質の飲み薬をエンペリックセラピー(経験的治療)として開始し、淋菌が陽性の結果が出た後にセフトリアキソンの点滴を行うことがあります。

抗生物質(エンペリックセラピー)

アジスロマイシン(先発薬:ジスロマック)250mg  1回4錠    1回のみ

ドキシサイクリン(先発薬:ビブラマイシン)100㎎ 1回1錠・1日2回 7日間

シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 7日間   など

アジスロマイシン・ドキシサイクリン・シタフロキサシンともかつては淋菌に有効な抗菌薬でしたが、近年は耐性化のため治療不成功となることが増え、淋菌感染症の推奨治療薬からは除外されています。

淋菌が検査で陽性と出た際は上記抗菌薬の内服治療で症状が軽減していたとしても完治しない(体内から淋菌を完全に排除できていない)可能性が高いため、下記の治療を行う必要があります。

淋菌への抗生物質

セフトリアキソン(先発薬:ロセフィン) 1回1g   点滴 単回投与

スぺクチノマイシン(先発薬:トロビシン) 1回2g   筋注 単回投与

どちらの治療も1回の治療で完結します。

スぺクチノマイシンは組織移行性の点から咽頭感染時に無効なため、咽頭炎も治療可能なセフトリアキソンでの治療が第一選択となることが多いです。セフェム系のアレルギーがある場合などで使用できない場合はスぺクチノマイシンでの治療が選択されます。

セフトリアキソンやスぺクチノマイシンでの治療でほぼ治るといわれていますが治療成功率は100%ではありません。パートナーへの感染や進行を防ぐために、体内から淋菌がいなくなった「完治」を確認する治癒確認検査を行う必要があります。

治療費用

使用する抗生物質の種類、先発品やジェネリックか、院内処方か院外処方かによって費用が変わります。3割負担で数十円~千円程と大きく変わります。点滴や注射の治療が必要となる場合は3割負担で千円程となります。

郵送検査、他院での検査(自費、保険問わず)で検査結果が陽性の場合、治療は保険で可能となりますが、本人の検査結果かどうかがわかる、氏名が明記された検査結果を持参の上受診が必要となります。治療費用は上記の薬代と初診料等で上記金額に加えて千円程となります。

治癒確認検査

淋菌の治療後2~3週間後に治癒確認検査を受け、体内から淋菌がいなくなった「完治」になったかの確認を行いましょう。

治療終了後すぐに検査を受けてしまうと、治っている状態であっても菌の死骸が検査で検出されてしまうことで陽性とでてしまう「偽陽性」となってしまうことがあります。

治癒確認の重要性

淋菌性子宮頚管炎の治癒をせずに進行してしまうもしくは治療後も治癒確認検査を行わずに体内から完全に排除されずに残存していて進行してしまう(治癒失敗)と、子宮内膜炎による不正出血や骨盤内付属器炎(卵巣炎や卵管炎)、激しい腹痛となる肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)などを起こすことがあります。卵管炎が進行し両側の卵管が癒着のため閉塞すると不妊症の原因となることもあります。また、卵管の炎症は卵子を運ぶ機能が低下し、卵管妊娠(子宮外妊娠)を起こす可能性があります。

咽頭淋病(男性・女性)

原因感染経路潜伏期間症状検査可能時期
検査方法検査費用(保険)治療法(保険)治癒費用(保険)治癒確認検査(保険)
原因

淋菌が咽頭の粘膜に侵入をし、増殖をし感染することで発症をします。

感染経路

淋菌(ナイセリア・ゴノレア)という細菌が「粘膜どうしの接触」で感染をします。淋菌性尿道炎は感染者の体液(精液、尿道・膣分泌液、唾液など)が粘膜に触れることで、、咽頭に菌が侵入し増殖することで感染が成立します。

  • 性交(オーラルセックス)
  • 性的な粘膜接触(性器と口、肛門と口など)
  • ディープキス(唇を軽く合わせるフレンチ・キスでの感染リスクは低いといわれています)

淋菌は環境の変化に弱く生きていくために炭酸ガスを必要とし、乾燥や温度の変化でも死滅するため、体外環境では生存できません。以下のような性行為以外での感染は考えにくいです。

  • 浴槽の共用、温泉、プール、シャワー
  • トイレの便座やウォシュレットの水流
  • ペットボトルやコップの回し飲み、食器の使い回し

手指やタオルを介しての感染が疑われる報告もあるため、感染者の体液が付着した直後に粘膜に接触すると感染する可能性は極めて稀かと思われますが否定できません。

潜伏期間

感染から症状が出るまで2~7日。

症状

感染をしても無症状のことが多いです。のどの違和感、咽頭痛、リンパ節の腫れなどいわゆる風邪様症状を起こします。風邪と似ているため気づかれないことが多いです。咽頭感染は特徴的な症状が乏しいことからパートナーへの感染源の1つとなっているといわれています。

性器淋菌感染症患者の10~30%で咽頭からも淋菌が検出されるといわれています。

検査可能時期

感染機会の翌日から

検査方法

うがい液による検査を行います。

検査用のコップの中にある液体を口にふくみガラガラとうがいをし、液体をコップに戻します。

保険診療では核酸検出で保険請求を行えるのが1部位のみとなるため、尿や膣ぬぐい液と咽頭(うがい液)の検査を同時に行う場合は全て自費での検査となります。

※即日検査は全て自費の検査となります。イムノクロマト法などを使用したキット検査となり、数十分程で検査結果が出るため、受診当日にすぐ検査、治療を行うことができます(混合診療はできないため、自費での検査の結果治療を行う場合は自費での治療となります)。症状が無い場合やスクリーニングでの検査では感染をしていても陽性と出てこない「偽陰性」の可能性が高いため、スクリーニング検査や治癒確認検査には適していません。

検査費用

初診料・検査費用等で3割負担の場合、自己負担額は2000円台となります。

検査は「核酸検出法(PCR法が多いです)」による検査を行います。PCR法とは淋菌に特異的な遺伝子を増幅させ検出する検査となるため、非常に感度が高い検査となります。

外部機関に委託することが多いため、検査結果が出るまで数日要するため日数はクリニックによって異なります。陽性の場合は淋菌の治療を行っていきます。

治療法

抗生物質での治療になります。咽頭淋病の症状は非特異的な(特徴がない)ため、検査で淋菌が陽性時にセフトリアキソンの点滴治療を行います。スぺクチノマイシンの筋注は咽頭感染時には効果がないため、使用されません。

咽頭淋病への抗生物質

セフトリアキソン(先発薬:ロセフィン) 1回1g   点滴 単回投与

アジスロマイシン(先発薬:ジスロマック)250mg  1回4錠 1回のみ と
ゲンタマイシン(先発薬:ゲンタシン) 1回240mg 筋注 単回投与  の併用治療

どちらの治療も1回の治療で完結します。これらの治療で治療失敗時はカルバペネム系の抗生物質の点滴治療が検討されます。

セフトリアキソンやスぺクチノマイシンの治療でほぼ治るといわれていますが治療成功率は100%ではありません。パートナーへの感染や進行を防ぐために、体内から淋菌がいなくなった「完治」を確認する治癒確認検査を行う必要があります。

治療費用

使用する抗生物質の種類、先発品やジェネリックか等により金額がかわります。内服で3割負担で千円程、点滴や注射の治療が必要となる場合は3割負担で千円程となります。

郵送検査、他院での検査(自費、保険問わず)で検査結果が陽性の場合、治療は保険で可能となりますが、本人の検査結果かどうかがわかる、氏名が明記された検査結果を持参の上受診が必要となります。治療費用は上記の薬代と初診料等で上記金額に加えて千円程となります。

治癒確認検査

淋菌の治療後2~3週間後に治癒確認検査を受け、体内から淋菌がいなくなった「完治」になったかの確認を行いましょう。

治療終了後すぐに検査を受けてしまうと、治っている状態であっても菌の死骸が検査で検出されてしまうことで陽性とでてしまう「偽陽性」となってしまうことがあります。

治癒確認の重要性

咽頭淋病は無症状もしくは症状があっても風邪様症状のことが多いため、淋病と疑われずに治癒をせずに経過してしまうことが多いです。他部位で淋菌が検出され治療後でも、咽頭淋病も治癒しているとは限らないため、疑わしい場合は咽頭の検査と治癒確認検査を行い、完治を確認しないと治療失敗時に咽頭からパートナーへうつしてしまうといった感染拡大をしてしまいます。また、パートナーの咽頭淋病を介して咽頭や性器への感染を繰り返してしまう可能性もあります。

直腸淋病(男性・女性)

原因感染経路潜伏期間症状検査可能時期
検査方法治療方法治癒確認検査
原因

淋菌が直腸の粘膜に侵入をし、増殖をし感染することで発症をします。

感染経路

淋菌(ナイセリア・ゴノレア)という細菌が「粘膜どうしの接触」で感染をします。淋菌性尿道炎は感染者の体液(精液、尿道・膣分泌液、唾液など)が粘膜に触れることで、直腸に菌が侵入し増殖することで感染が成立します。

  • 性交(オーラルセックス、アナルセックス)
  • 性的な粘膜接触(肛門と肛門、性器と肛門、肛門と口など)
  • ディープキス(唇を軽く合わせるフレンチ・キスでの感染リスクは低いといわれています)

淋菌は環境の変化に弱く生きていくために炭酸ガスを必要とし、乾燥や温度の変化でも死滅するため、体外環境では生存できません。以下のような性行為以外での感染は考えにくいです。

  • ペットボトルやコップの回し飲み、食器の使い回し
  • 浴槽の共用、温泉、プール、シャワー
  • トイレの便座やウォシュレットの水流

直接感染以外にも、自家感染(別の部位から感染をしてしまう)をおこすことがあります。

  • 淋菌に感染した腟分泌液が肛門周囲を汚染することによる感染
  • 性器感染からリンパ行性に感染

手指やタオルを介しての感染が疑われる報告もあるため、感染者の体液が付着した直後に粘膜に接触すると感染する可能性は極めて稀かと思われますが否定できません。

潜伏期間

感染機会から症状が出るまで2~7日程となりますが、症状が出ない場合も多く、感染時期がはっきりとしないことが多いといわれています。

症状

感染をしても無症状のことが多いです。肛門の痛みや痒み、繰り返す軽度の下痢、粘血便、出血などをおこすといわれていますが、85%以上は感染しても無症状といわれています。直腸感染では症状が乏しいことからパートナーへの感染源となる可能性があります。

検査可能時期

感染機会の翌日から

検査方法

肛門ぬぐい液による検査を行います。

肛門から綿棒を挿入して分泌液を採取します。

保険診療では核酸検出での肛門検体は認められていないため、自費での検査となります。

検査は「核酸検出法(PCR法が多いです)」による検査を行います。PCR法とは淋菌に特異的な遺伝子を増幅させ検出する検査となるため、非常に感度が高い検査となります。

外部機関に委託することが多いため、検査結果が出るまで数日要するため日数はクリニックによって異なります。陽性の場合は淋菌の治療を行っていきます。

治療法

抗生物質での治療になります。直腸淋病の症状は非特異的な(特徴がない)ため、検査で淋菌が陽性時にセフトリアキソンの点滴治療を行います。スぺクチノマイシンの筋注は咽頭感染時には効果がないためセフトリアキソンにアレルギーがある場合に使用されることが多いです。

直腸淋病への抗生物質

セフトリアキソン(先発薬:ロセフィン) 1回1g   点滴 単回投与

スぺクチノマイシン(先発薬:トロビシン) 1回2g   筋注 単回投与

どちらの治療も1回の治療で完結します。これらの治療で治療失敗時はカルバペネム系の抗生物質の点滴治療が検討されます。

セフトリアキソンの治療でほぼ治るといわれていますが治療成功率は100%ではありません。パートナーへの感染や進行を防ぐために、体内から淋菌がいなくなった「完治」を確認する治癒確認検査を行う必要があります。

治癒確認検査

直腸淋病の治療後2~3週間後に治癒確認検査を受け、体内から淋菌がいなくなった「完治」になったかの確認を行いましょう。

治療終了後すぐに検査を受けてしまうと、治っている状態であっても菌の死骸が検査で検出されてしまうことで陽性とでてしまう「偽陽性」となってしまうことがあります。

治癒確認の重要性

直腸淋病は無症状のことが多く、淋病と疑われずに治癒をせずに経過してしまうことが多いです。他部位で淋菌が検出され治療後でも、直腸淋病も治癒しているとは限らないため、疑わしい場合は肛門の検査と治癒確認検査を行い、完治を確認しないと治療失敗時に肛門・直腸からパートナーへうつしてしまうといった感染拡大をしてしまいます。また、パートナーの直腸淋病を介して尿道や子宮頚管部への感染を繰り返してしまう可能性もあります。