マイコプラズマ、ウレアプラズマ
概要
マイコプラズマ、ウレアプラズマともに男性の非クラミジア性非淋菌性尿道炎の原因の1種といわれ、性感染症による尿道炎としては淋菌やクラミジアに次ぐ原因菌といわれており、尿道炎の20%を占めるといわれています。女性では子宮頚管炎をおこしクラミジアとほぼ同様の症状を起こします。
マイコプラズマ・ジュニタリウム
マイコプラズマ・ホミニス
ウレアプラズマ・ウレアリチカム
ウレアプラズマ・パルバム
が性器や咽頭などに感染し症状を起こします。クラミジアや淋菌とは症状だけでの鑑別が難しい場合が多いため、マイコプラズマ、ウレアプラズマは検査しないとわからず、クラミジアや淋菌の検査および治療後に症状が続く場合の検査やスクリーニング検査などで感染が分かることがあります。
マイコプラズマ・ジュニタリウムの検査はここ最近保険適応となりました。保険診療では淋菌およびクラミジア・トラコマチス同時核酸検出と、腟トリコモナスおよびマイコプラズマジェニタリウム同時核酸検出を同時に行うことができなないため、淋菌およびクラミジアの検査の結果が陰性もしくは陽性の結果のため治療をしても症状が改善しない際に保険適応での検査が可能となっています。
マイコプラズマ・ジュニタリウム単独の保険での検査はなく、咽頭感染を起こす膣トリコモナスとの同時検査となるため咽頭検査を行うことができません。
マイコプラズマ・ホミニス、ウレアプラズマの核酸検出検査は保険適応外のため自費検査となります。
感染をすると、尿道炎(男性)、子宮頚管炎(女性)、咽頭感染(男性・女性)、肛門感染(男性・女性)などの病気を起こし、進行すると精巣上体炎(男性)、卵管炎などの骨盤内付属器炎(女性)などを起こし不妊の原因となることがあります。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症
尿道炎(男性)
原因 | 感染経路 | 潜伏期間 | 症状 | 検査可能時期 |
検査方法 | 検査費用(保険) | 治療法(保険) | 治癒費用(保険) | 治癒確認検査(保険) |
原因
マイコプラズマ・ウレアプラズマが尿道の粘膜に侵入をし、増殖をし感染することで発症をします。
感染経路
マイコプラズマ・ウレアプラズマが「粘膜どうしの接触」で感染をします。感染者の体液(精液、尿道・膣分泌液、唾液など)が粘膜に触れることで、尿道に菌が侵入し増殖することで感染が成立します。
- 性交(膣性交・アナルセックス・オーラルセックス)
- 性的な粘膜接触(性器と性器、性器と口、性器と肛門など)
- 性交類似行為(素股など)でも粘膜が触れ合えば感染の可能性があります
マイコプラズマ肺炎を起こす、マイコプラズマ・ニューモニアとは全く異なります。
以下のような状況での感染はまずありません。
- 浴槽の共用、温泉、プール、シャワー
- トイレの便座やウォシュレットの水流
- ペットボトルやコップの回し飲み、食器の使い回し
潜伏期間
感染機会から症状が出るまで1~3週間で2週間前後が多いです。
症状
排尿時の違和感や軽い痛みが出現します。尿道口からやや透明な粘液~漿液性の分泌物を認めます。
検査可能時期
感染機会の翌日から
検査方法
尿検査を行います。
健康診断で行われる中間尿ではなく初尿(最初に排出された尿)での検査を行います。初尿は、尿道からの分泌物や細胞が多く含まれます。中間尿の場合は尿道内を洗い流した後の尿となるため、マイコプラズマ・ウレアプラズマが検出されにくく、偽陰性(本当は陽性なのに誤って陰性と出てしまう)の原因となる可能性があります。
保険診療では核酸検出で保険請求を行えるのは尿のみでマイコプラズマ・ジュニタリウムに限られます。(膣トリコモナスとの同時核酸検出になります)
マイコプラズマ・ジュニタリウム以外の検査を行う際は症状がある場合でも全て自費検査になります。
検査費用
初診料・検査費用等で3割負担の場合、自己負担額は2000円台となります。
検査は「核酸検出法(PCR法が多いです)」による検査を行います。PCR法とはマイコプラズマ・ウレアプラズマに特異的な遺伝子を増幅させ検出する検査となるため、非常に感度が高い検査となります。
外部機関に委託することが多いため、検査結果が出るまで数日要するため日数はクリニックによって異なります。陽性の場合は原因菌への治療を行っていきます。
治療法
抗生物質の内服治療になります。
初診時に尿道炎の症状がある場合、来院時に尿道炎に対して抗生物質の飲み薬をエンペリックセラピー(経験的治療)として開始し検査結果が出次第、治療方針の変更を行うことがあります。保険診療の場合は、マイコプラズマ・ジュニタリウム以外の検査をすることができないため、原因菌が不明のまま治癒となることがありますが、尿道炎の原因菌としてその他の一般細菌の可能性もあり、同定できないこともあります。
マイコプラズマ・ウレアプラズマともに細胞壁をもたない細菌のため、細胞壁に作用するペニシリン系、セフェム系は無効となるため、使用される抗生物質はニューキノロン系、テトラサイクリン系、マクロライド系になります。マイコプラズマ・ジェニタリウム以外ではドキシサイクリン、マイコプラズマ・ジェニタリウムではシタフロキサシンが使用されることが多いです。
日本ではマイコプラズマ・ジェニタリウムの7~8割がマクロライド耐性です。
抗生物質(エンペリックセラピー)
アジスロマイシン(先発薬:ジスロマック)250mg 1回4錠 1回のみ
ドキシサイクリン(先発薬:ビブラマイシン)100㎎ 1回1錠・1日2回 7日間
シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 7日間 など
上記の抗生物質でマイコプラズマ・ジュニタリウム以外はほぼ治癒しますが、抗生物質の薬剤耐性化が問題となっているマイコプラズマ・ジュニタリウムでは下記のような治療となります。
マイコプラズマ・ジュニタリウムへの抗生物質
シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 7~14日間(難治性のため14日が多いです)
治療失敗時は
ドキシサイクリン(先発薬:ビブラマイシン)100㎎ 1回1錠・1日2回 7日間内服後に
シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 14日間内服
どの抗生物質を使用しても治療成功率は100%ではありません。パートナーへの感染や進行を防ぐために、体内からクラミジアがいなくなった「完治」を確認する治癒確認検査を行う必要があります。
治療費用
使用する抗生物質の種類、先発品やジェネリックか、院内処方か院外処方かによって費用が変わります。3割負担で数十円~千円程と大きく変わります。
郵送検査、他院での検査(自費、保険問わず)でマイコプラズマ・ジュニタリウムの検査結果が陽性の場合、治療は保険で可能となりますが、本人の検査結果かどうかがわかる、氏名が明記された検査結果を持参の上受診が必要となります。治療費用は上記の薬代と初診料等で上記金額に加えて千円程となります。
マイコプラズマ・ジュニタリウム以外のマイコプラズマ・ウレアプラズマの検査および治療は全て自費となります。
治癒確認検査
マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療後2~3週間後に治癒確認検査を受け、体内からマイコプラズマ・ウレアプラズマがいなくなった「完治」になったかの確認を行いましょう。
治療終了後すぐに検査を受けてしまうと、治っている状態であっても菌の死骸が検査で検出されてしまうことで陽性とでてしまう「偽陽性」となってしまうことがあります。
治癒確認検査はマイコプラズマ・ジュニタリウムは保険で可能となりますが、マイコプラズマ・ジュビタイルむ以外のマイコプラズマ・ウレアプラズマの治癒確認検査は自費となります。
治癒確認の重要性
尿道炎の治癒をせずに進行してしまうもしくは治療後も治癒確認検査を行わずに体内から完全に排除されずに残存していて進行してしまう(治癒失敗)と、睾丸の付け根あたりの違和感や残尿感、下腹部不快感などの症状が出現する前立腺炎や陰嚢の腫れや痛み、発熱の症状が出現する精巣上体炎の原因となります。
子宮頚管炎(女性)
原因 | 感染経路 | 潜伏期間 | 症状 | 検査可能時期 |
検査方法 | 検査費用(保険) | 治療法(保険) | 治癒費用(保険) | 治癒確認検査(保険) |
原因
マイコプラズマ・ウレアプラズマが子宮頚管の粘膜に侵入をし、増殖をし感染することで発症をします。
感染経路
マイコプラズマ・ウレアプラズマが「粘膜どうしの接触」で感染をします。感染者の体液(精液、尿道・膣分泌液、唾液など)が粘膜に触れることで、尿道に菌が侵入し増殖することで感染が成立します。
- 性交(膣性交)
- 性的な粘膜接触(性器と性器、性器と口、性器と肛門など)
- 性交類似行為(素股など)でも粘膜が触れ合えば感染の可能性があります
マイコプラズマ肺炎を起こす、マイコプラズマ・ニューモニアとは全く異なります。
以下のような状況での感染はまずありません。
- 浴槽の共用、温泉、プール、シャワー
- トイレの便座やウォシュレットの水流
- ペットボトルやコップの回し飲み、食器の使い回し
潜伏期間
感染機会から症状が出るまで1~3週間で2週間前後が多いです。
症状
排尿時の違和感や軽い痛みが出現します。おりものの量の増加や性状の変化、外陰部のかゆみ、性交時痛などの症状が出現します。
検査可能時期
感染機会の翌日から
検査方法
膣ぬぐい液による検査を行います。
綿棒を子宮に入り口に入れ、膣からの分泌物を綿棒で採取して検査を行います。 ご自身での採取が可能で痛みは伴いません。血液が混入してしまうと正確な検査ができなくなってしまうため、生理の時以外での検査となります。
保険診療では核酸検出で保険請求を行えるのは尿のみでマイコプラズマ・ジュニタリウムに限られます。(膣トリコモナスとの同時核酸検出になります)
マイコプラズマ・ジュニタリウム以外の検査を行う際は症状がある場合でも全て自費検査になります。
治療法
抗生物質の内服治療になります。
初診時に尿道炎の症状がある場合、来院時に尿道炎に対して抗生物質の飲み薬をエンペリックセラピー(経験的治療)として開始し検査結果が出次第、治療方針の変更を行うことがあります。保険診療の場合は、マイコプラズマ・ジュニタリウム以外の検査をすることができないため、原因菌が不明のまま治癒となることがありますが、尿道炎の原因菌としてその他の一般細菌の可能性もあり、同定できないこともあります。
マイコプラズマ・ウレアプラズマともに細胞壁をもたない細菌のため、細胞壁に作用するペニシリン系、セフェム系は無効となるため、使用される抗生物質はニューキノロン系、テトラサイクリン系、マクロライド系になります。マイコプラズマ・ジェニタリウム以外ではドキシサイクリン、マイコプラズマ・ジェニタリウムではシタフロキサシンが使用されることが多いです。
日本ではマイコプラズマ・ジェニタリウムの7~8割がマクロライド耐性です。
抗生物質(エンペリックセラピー)
アジスロマイシン(先発薬:ジスロマック)250mg 1回4錠 1回のみ
ドキシサイクリン(先発薬:ビブラマイシン)100㎎ 1回1錠・1日2回 7日間
シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 7日間 など
上記の抗生物質でマイコプラズマ・ジュニタリウム以外はほぼ治癒しますが、抗生物質の薬剤耐性化が問題となっているマイコプラズマ・ジュニタリウムでは下記のような治療となります。
マイコプラズマ・ジュニタリウムへの抗生物質
シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 7~14日間(難治性のため14日が多いです)
治療失敗時は
ドキシサイクリン(先発薬:ビブラマイシン)100㎎ 1回1錠・1日2回 7日間内服後に
シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 14日間内服
どの抗生物質を使用しても治療成功率は100%ではありません。パートナーへの感染や進行を防ぐために、体内からクラミジアがいなくなった「完治」を確認する治癒確認検査を行う必要があります。
治療費用
使用する抗生物質の種類、先発品やジェネリックか、院内処方か院外処方かによって費用が変わります。3割負担で数十円~千円程と大きく変わります。
郵送検査、他院での検査(自費、保険問わず)でマイコプラズマ・ジュニタリウムの検査結果が陽性の場合、治療は保険で可能となりますが、本人の検査結果かどうかがわかる、氏名が明記された検査結果を持参の上受診が必要となります。治療費用は上記の薬代と初診料等で上記金額に加えて千円程となります。
マイコプラズマ・ジュニタリウム以外のマイコプラズマ・ウレアプラズマの検査および治療は全て自費となります。
治癒確認検査
マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療後2~3週間後に治癒確認検査を受け、体内からマイコプラズマ・ウレアプラズマがいなくなった「完治」になったかの確認を行いましょう。
治療終了後すぐに検査を受けてしまうと、治っている状態であっても菌の死骸が検査で検出されてしまうことで陽性とでてしまう「偽陽性」となってしまうことがあります。
治癒確認検査はマイコプラズマ・ジュニタリウムは保険で可能となりますが、マイコプラズマ・ジュビタイルむ以外のマイコプラズマ・ウレアプラズマの治癒確認検査は自費となります。
治癒確認の重要性
子宮頚管炎の治癒をせずに進行してしまうもしくは治療後も治癒確認検査を行わずに体内から完全に排除されずに残存していて進行してしまう(治癒失敗)と、子宮内膜炎による不正出血や骨盤内付属器炎(卵巣炎や卵管炎)、激しい腹痛となる肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)などを起こすことがあります。卵管炎が進行し両側の卵管が癒着のため閉塞すると不妊症の原因となることもあります。また、卵管の炎症は卵子を運ぶ機能が低下し、卵管妊娠(子宮外妊娠)を起こす可能性があります。
咽頭感染(男性・女性)
原因 | 感染経路 | 潜伏期間 | 症状 | 検査可能時期 |
検査方法 | 検査費用(保険) | 治療法(保険) | 治癒費用(保険) | 治癒確認検査(保険) |
原因
マイコプラズマ・ウレアプラズマが咽頭の粘膜に侵入をし、増殖をし感染することで発症をします。
感染経路
マイコプラズマ・ウレアプラズマが「粘膜どうしの接触」で感染をします。感染者の体液(精液、尿道・膣分泌液、唾液など)が粘膜に触れることで、咽頭に菌が侵入し増殖することで感染が成立します。
- 性交(膣性交・アナルセックス・オーラルセックス)
- 性的な粘膜接触(性器と性器、性器と口、性器と肛門など)
- 性交類似行為(素股など)でも粘膜が触れ合えば感染の可能性があります
マイコプラズマ肺炎を起こす、マイコプラズマ・ニューモニアとは全く異なります。
以下のような状況での感染はまずありません。
- 浴槽の共用、温泉、プール、シャワー
- トイレの便座やウォシュレットの水流
- ペットボトルやコップの回し飲み、食器の使い回し
潜伏期間
感染機会から症状が出るまで1~3週間で2週間前後が多いです。
症状
感染をしても無症状のことが多いです。のどの違和感、咽頭痛、リンパ節の腫れなどいわゆる風邪様症状を起こします。風邪と似ているため気づかれないことが多いです。咽頭感染は特徴的な症状が乏しいことからパートナーへの感染源の1つとなっているといわれています。
検査可能時期
感染機会の翌日から
検査方法
うがい液による検査を行います。
検査用のコップの中にある液体を口にふくみガラガラとうがいをし、液体をコップに戻します。
保険診療での検査は行うことができません。
検査費用
保険診療での検査はできず、自費診療となります。
検査は「核酸検出法(PCR法が多いです)」による検査を行います。PCR法とはマイコプラズマ・ウレアプラズマに特異的な遺伝子を増幅させ検出する検査となるため、非常に感度が高い検査となります。
外部機関に委託することが多いため、検査結果が出るまで数日要するため日数はクリニックによって異なります。陽性の場合はマイコプラズマ・ウレアプラズマの治療を行っていきます。
治療法
抗生物質の内服治療になります。症状が無いもしくは非特異的であったり、スクリーニング検査で感染が判明することが多いため、検査結果をもとに進めていきます。
マイコプラズマ・ウレアプラズマともに細胞壁をもたない細菌のため、細胞壁に作用するペニシリン系、セフェム系は無効となるため、使用される抗生物質はニューキノロン系、テトラサイクリン系、マクロライド系になります。マイコプラズマ・ジェニタリウム以外ではドキシサイクリン、マイコプラズマ・ジェニタリウムではシタフロキサシンが使用されることが多いです。
日本ではマイコプラズマ・ジェニタリウムの7~8割がマクロライド耐性です。
マイコプラズマ・ジュニタリウムへの抗生物質
シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 7~14日間(難治性のため14日が多いです)
治療失敗時は
ドキシサイクリン(先発薬:ビブラマイシン)100㎎ 1回1錠・1日2回 7日間内服後に
シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 14日間内服
マイコプラズマ・ジュニタリウム以外の抗生物質
アジスロマイシン(先発薬:ジスロマック)250mg 1回4錠 1回のみ
ドキシサイクリン(先発薬:ビブラマイシン)100㎎ 1回1錠・1日2回 7日間
シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 7日間
どの抗生物質を使用しても治療成功率は100%ではありません。パートナーへの感染や進行を防ぐために、体内からクラミジアがいなくなった「完治」を確認する治癒確認検査を行う必要があります。
治療費用
自費での治療となります。
治癒確認検査
マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療後2~3週間後に治癒確認検査を受け、体内からマイコプラズマ・ウレアプラズマがいなくなった「完治」になったかの確認を行いましょう。
治療終了後すぐに検査を受けてしまうと、治っている状態であっても菌の死骸が検査で検出されてしまうことで陽性とでてしまう「偽陽性」となってしまうことがあります。
治癒確認検査は自費となります。
治癒確認の重要性
咽頭感染は無症状もしくは症状があっても風邪様症状のことが多いため、マイコプラズマ・ウレアプラズマと疑われずに治癒をせずに経過してしまうことが多いです。他部位で検出され治療後でも、咽頭クラミジアも治癒しているとは限らないため、疑わしい場合は咽頭の検査と治癒確認検査を行い、完治を確認しないと治療失敗時に咽頭からパートナーへうつしてしまうといった感染拡大をしてしまいます。また、パートナーの咽頭感染を介して尿道や子宮頚管部への感染を繰り返してしまう可能性もあります。
直腸感染(男性・女性)
原因 | 感染経路 | 潜伏期間 | 症状 | 検査可能時期 |
検査方法 | 治療方法 | 治癒確認検査 |
原因
マイコプラズマ・ウレアプラズマが直腸の粘膜に侵入をし、増殖をし感染することで発症をします。
感染経路
マイコプラズマ・ウレアプラズマが「粘膜どうしの接触」で感染をします。感染者の体液(精液、尿道・膣分泌液、唾液など)が粘膜に触れることで、咽頭に菌が侵入し増殖することで感染が成立します。
- 性交(オーラルセックス、アナルセックス)
- 性的な粘膜接触(肛門と肛門、性器と肛門、肛門と口など)
- 性交類似行為(素股など)でも粘膜が触れ合えば感染の可能性があります
マイコプラズマ肺炎を起こす、マイコプラズマ・ニューモニアとは全く異なります。
以下のような状況での感染はまずありません。
- 浴槽の共用、温泉、プール、シャワー
- トイレの便座やウォシュレットの水流
- ペットボトルやコップの回し飲み、食器の使い回し
直接感染以外にも、自家感染(別の部位から感染をしてしまう)をおこすことがあります。
- クラミジアに感染した腟分泌液が肛門周囲を汚染することによる感染
- 性器感染からリンパ行性に感染
潜伏期間
感染機会から症状が出るまで1~3週間で2週間前後が多いです。
症状
感染をしても無症状のことが多いです。肛門の痛みや痒み、繰り返す軽度の下痢、粘血便、出血などをおこすといわれていますが、ほとんどは無症状といわれています。直腸感染では症状が乏しいことからパートナーへの感染源となっているといわれています。
検査可能時期
感染機会の翌日から
検査方法
肛門ぬぐい液による検査を行います。
肛門から綿棒を挿入して分泌液を採取します。
保険診療での検査は行うことができません。
治療法
抗生物質の内服治療になります。症状が無いもしくは非特異的であったり、スクリーニング検査で感染が判明することが多いため、検査結果をもとに進めていきます。
マイコプラズマ・ウレアプラズマともに細胞壁をもたない細菌のため、細胞壁に作用するペニシリン系、セフェム系は無効となるため、使用される抗生物質はニューキノロン系、テトラサイクリン系、マクロライド系になります。マイコプラズマ・ジェニタリウム以外ではドキシサイクリン、マイコプラズマ・ジェニタリウムではシタフロキサシンが使用されることが多いです。
日本ではマイコプラズマ・ジェニタリウムの7~8割がマクロライド耐性です。
マイコプラズマ・ジュニタリウムへの抗生物質
シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 7~14日間(難治性のため14日が多いです)
治療失敗時は
ドキシサイクリン(先発薬:ビブラマイシン)100㎎ 1回1錠・1日2回 7日間内服後に
シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 14日間内服
マイコプラズマ・ジュニタリウム以外の抗生物質
アジスロマイシン(先発薬:ジスロマック)250mg 1回4錠 1回のみ
ドキシサイクリン(先発薬:ビブラマイシン)100㎎ 1回1錠・1日2回 7日間
シタフロキサシン(先発薬:グレースビット)50mg 1回2錠・1日2回 7日間
どの抗生物質を使用しても治療成功率は100%ではありません。パートナーへの感染や進行を防ぐために、体内からクラミジアがいなくなった「完治」を確認する治癒確認検査を行う必要があります。
治療費用
自費での治療となります。
治癒確認検査
クラミジアの治療後2~3週間後に治癒確認検査を受け、体内からクラミジアがいなくなった「完治」になったかの確認を行いましょう。
治療終了後すぐに検査を受けてしまうと、治っている状態であっても菌の死骸が検査で検出されてしまうことで陽性とでてしまう「偽陽性」となってしまうことがあります。
治癒確認検査は自費となります。
治癒確認の重要性
直腸感染は無症状のことが多く、マイコプラズマ・ウレアプラズマと疑われずに治癒をせずに経過してしまうことが多いです。他部位で検出され治療後でも、直腸感染も治癒しているとは限らないため、疑わしい場合は肛門の検査と治癒確認検査を行い、完治を確認しないと治療失敗時に肛門・直腸からパートナーへうつしてしまうといった感染拡大をしてしまいます。また、パートナーの直腸感染を介して尿道や子宮頚管部への感染を繰り返してしまう可能性もあります。