インフルエンザ
インフルエンザについて
インフルエンザは、インフルエンザウイルスというウイルスの1種によって引き起こされる急性の呼吸器感染症です。感染した人のくしゃみや咳などで飛び散ったウイルスを含んだ飛沫を口や鼻から吸い込むことで感染をしてしまう飛沫感染と、ドアノブなどに付着した感染したヒトの飛沫を手で触れ、ウイルスの付着した手で鼻や口を触れて感染をしてしまう接触感染があります。
季節性のインフルエンザは12月~3月の冬季に流行し、流行期には多くの人が発症します。感染してから発症するまでの潜伏期間は1~5日間といわれています。一般的な風邪とは異なり、突然の高熱や全身の強い倦怠感、筋肉痛・関節痛など、全身に及ぶ激しい症状が特徴です。
インフルエンザ予防接種
インフルエンザワクチンを予防接種することにより、発症率や重症化率を下げることができるといわれています。現行のインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありません。
インフルエンザワクチンは接種後2週間程度で効果が出始め、約5か月間持続します。したがって、流行期前の10月~11月中の接種が理想的です。
感染の原因
インフルエンザウイルスが、気道の粘膜に感染をすることで発症をします。感染経路には「飛沫感染」と「接触感染」があります。
飛沫感染(ひまつかんせん)
- 感染者の咳やくしゃみ、会話時の飛沫に含まれるウイルスを、他の人が吸い込むことで感染します
- 飛沫は1〜2メートル以内の距離で感染しやすいです
- 混雑した電車、学校、職場などで広がりやすいです
接触感染(せっしょくかんせん)
- ウイルスが付着した手すり、ドアノブ、スイッチ、スマホなどに触れた手で鼻・口をこすったりすることで感染します
- ウイルスは手指や環境表面でも数時間生存するため、手洗い不足や手洗いをしないことにより感染します
症状
インフルエンザにより以下のような症状が出現します。
- 突然の高熱(38度以上)
- 頭痛
- 筋肉痛・関節痛
- 強い倦怠感
- 咳、のどの痛み
- 鼻水・鼻づまり
- 胃腸症状(下痢、嘔吐)※特に小児で多い
高齢者や基礎疾患がある方、小児、妊婦は重症化のリスクが高く、肺炎、脳炎、心筋炎などの合併症に注意が必要です
通常の風邪と比べると症状が重いことが多いですが、熱だけの症状のことや、37度台の微熱のこともあるため、流行期や診察により検査をお勧めすることがあります。
検査
「インフルエンザ迅速抗原検査」を行います。鼻の奥の粘膜を綿棒で擦りとり、ウイルス感染をしているかの検査をします。検査は10分ほどで出て、A型・B型別で判定結果が出ます。新型コロナウイルス感染との鑑別が難しいといわれ、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時迅速抗原検査を行うこともあります。
検査のタイミング
インフルエンザウイルスおよび新型コロナウイルスの迅速抗原検査を行う適切なタイミングは、ウイルスが増殖をし検出できるウイルス量が存在している必要があります。インフルエンザでは熱が出てから12時間~48時間以内、新型コロナウイルスでは12〜72時間以内に抗原検査を行うと正確な結果が出やすいといわれています。発症後すぐの検査では 検出率が低くなり、症状があっても偽陰性(陰性でも感染している)となることがあります。
治療
抗インフルエンザウイルス薬の飲み薬、吸入薬、点滴で治療を行います。
抗インフルエンザウイルス薬はウィルスそのものを死滅させるものではなく、増殖を抑えて効果を発揮するため、ウィルスが増殖していない段階で服用する必要があるため、症状が出始めたら48時間以内に服用する必要があります。
薬剤名 | 使用方法(成人) | 注意点 |
オセルタミビル(タミフル) | 内服(1回75mg1日2回、5日間) | 5日間の内服が必要。症状がおちついて内服を自己中断してしまうと再度ウイルスが増殖し、長引くことがあります。 |
バロキサビルマルボキシル(ゾフルーザ) | 内服(体重80kg以上 20mg錠4錠、単回。80kg未満20mg錠2錠、単回) | 1回の内服で治療が完了します。 |
ザナミビル(リレンザ) | 吸入(5mgブリスターを1回2吸入、1日2回、5日間) | 吸入のため、使い方がやや難しく5日間必要。症状がおちついて内服を自己中断してしまうと再度ウイルスが増殖し、長引くことがあります。 |
ラニナミビル(イナビル) | 吸入(20mgを2回吸入、単回) | |
ペラミビル(ラピアクタ) | 点滴(300mgを15分以上かけて単回点滴静注) |
ゾフルーザやイナビルは1回の治療で完了するため、好まれることが多いです。
予防
インフルエンザの予防接種が一定の発症予防効果があります。
日常生活での小まめな手洗い、うがいやマスクの着用などが予防になります。
注意点
学校における出席停止期間については下記の通りとなります。学校保健安全法で規定されており下記の通りとなります。
小学校、中学校、高等学校、義務教育学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校
学校保健安全法でインフルエンザ出席停止期間は
①発症後 5 日を経過(症状が出現した発症日を0日とする)
②解熱した後2日(熱が下がり平熱となった日を0日とする)
を満たす必要があります。
専門学校
専門学校は学校教育法の学校には指定されていないため、学校保健安全法では出席停止期間などは定められておらず、専門学校独自で規定があると思われるため、専門学校への確認が必要です。
幼稚園・保育園
幼児の場合は学校保健安全法でインフルエンザ出席停止期間は
①発症後 5 日を経過(症状が出現した発症日を0日とする)
②解熱した後3日(熱が下がり平熱となった日を0日とする)
を満たす必要があります。
職場
会社はインフルエンザに関する法律はないため、会社毎の就業規則によります。
多くの会社では、学校保健安全法に基づき、「発症後5日を経過」かつ「解熱した後2日」を出勤停止に定めていることが多いですが、規定のない場合や会社により出勤停止のルールが異なるため、勤務する会社の就業規則を確認する必要があります。