萎縮性瘢痕の分類と治療方法

ニキビの萎縮性瘢痕は炎症性ニキビの後に皮膚のコラーゲンなどの組織が破壊され、陥没した瘢痕として残った状態のことをいいます。萎縮性瘢痕はJacobらにより「アイスピック型」「ボックスカー型」「ローリング型」の3タイプに分類され、アイスピック型が全瘢痕の60%~70%、ボックスカー型が20%~30%、ローリング型が15%~25%を占めているといわれています。1)

萎縮せ瘢痕のタイプ特徴ポイントでの治療
アイスピック型クレーターの直径は狭く(2 mm 未満)、真皮深層または皮下組織まで垂直に伸びた深く、境界がはっきりしたV字型の瘢痕です。TCAクロス
炭酸ガスレーザーによるアブレーション
パンチエクシジョン
ボックスカー型水痘跡に似た、垂直の縁がはっきりとした、楕円形~円形の瘢痕です。アイスピック型と比べ表面が広く、底面は尖っておらずU字型の瘢痕です。炭酸ガスレーザーによるアブレーション
パンチエレベーション
TCAクロス
ローリング型表面からは比較的正常に見える皮膚において、真皮からSMASにかけての瘢痕線維により真皮が皮下組織へ引きつれると、表面に影ができ、その上にある皮膚が波打ったように見えます。通常は 4 ~ 5 mm より大きいです。サブシジョン

アイスピック型

特徴

  • 幅が狭く(2mm未満)、深いV字型の陥凹
  • 表皮から真皮深層、場合によっては皮下組織にまで及ぶ
  • 鋭く深いため、通常の皮膚再生治療では改善効果が乏しい

主な治療法

TCA クロス(高濃度トリクロロ酢酸)

高濃度(50~100%)のトリクロロ酢酸を瘢痕部位のみに塗布し、瘢痕内のコラーゲン生成を促進する。創傷治癒過程を促すことで、瘢痕を浅くする効果があります。TCAクロスはアイスピック型が良い適応になりますが、ボックスカー型にも使用されます。

炭酸ガスレーザーによるアブレーション

レーザーを照射し皮膚表面を蒸散させます。瘢痕組織のエッジを蒸散させることで、瘢痕組織の除去と創傷治癒過程を促すことによりコラーゲンなどの生成を促し瘢痕を浅くする効果があります。

パンチテクニック

パンチエクシジョン:麻酔をした後に皮膚生検用のデルマパンチ(円形メス)を使用し瘢痕をくりぬき底面を切離する治療です。必要により縫合をする場合もあります。主にアイスピック型で用いられる方法です。くりぬき除去のみでは創傷治癒過程によりいわゆる「ほくろ除去後」のような比較的平らな成熟瘢痕の状態となり、縫合時は縫合による皮膚割線が残ります。

パンチエレベーション:デルマパンチでくりぬいた後に浮かせるように持ち上げる治療になります。縫合をし固定をする場合や組織を一部残し皮膚の深い部分を浮かした状態にする方法があります。アイスピック型では不適でボックスカー型で用いられる方法です。

パンチグラフティング:パンチエクシジョン後に耳たぶの裏などの皮膚を移植し固定縫合をする治療になります。

ボックスカー型

特徴

  • 幅が広く、縁がはっきりとしたU字型の陥凹
  • 深さは浅いものから中程度のものまで様々ある
  • 真皮浅層~中層のダメージによるもので、アイスピック型よりも改善しやすい

主な治療法

深いボックスカー型向けの治療法

TCA クロス(高濃度トリクロロ酢酸)

高濃度(50~100%)のトリクロロ酢酸を瘢痕部位のみに塗布し、瘢痕内のコラーゲン生成を促進する。創傷治癒過程を促すことで、瘢痕を浅くする効果があります。TCAクロスはアイスピック型が良い適応になりますが、ボックスカー型にも使用されます。

炭酸ガスレーザーによるアブレーション

レーザーを照射し皮膚表面を蒸散させます。瘢痕組織のエッジを蒸散させることで、瘢痕組織の除去と創傷治癒過程を促すことによりコラーゲンなどの生成を促し瘢痕を浅くする効果があります。

パンチテクニック

パンチエクシジョン:麻酔をした後に皮膚生検用のデルマパンチ(円形メス)を使用し瘢痕をくりぬき底面を切離する治療です。必要により縫合をする場合もあります。主にアイスピック型で用いられる方法です。くりぬき除去のみでは創傷治癒過程によりいわゆる「ほくろ除去後」のような比較的平らな成熟瘢痕の状態となり、縫合時は縫合による皮膚割線が残ります。

パンチエレベーション:デルマパンチでくりぬいた後に浮かせるように持ち上げる治療になります。縫合をし固定をする場合や組織を一部残し皮膚の深い部分を浮かした状態にする方法があります。アイスピック型では不適でボックスカー型で用いられる方法です。

パンチグラフティング:パンチエクシジョン後に耳たぶの裏などの皮膚を移植し固定縫合をする治療になります。

サブシジョン

皮下の線維組織を切断し、瘢痕の引きつれを解消する方法で、ボックスカー型とローリング型に有効です。

浅いボックスカー型向けの治療法

フラクショナルレーザー

CO2レーザーやエルビウム(Er:YAG)レーザー、ピコレーザーを使用し、熱エネルギーや衝撃波による空砲形成によって皮下に損傷を与え、創傷治癒過程を促し皮膚のリモデリングを促進します。

マイクロニードリング(ダーマペンやダーマローラーなど)

専用の細かい針を使って皮膚に微細な損傷を与え、自然なコラーゲン生成を促進します。浅いボックスカー型の治療に適しています。

フラクショナルニードルRF

フラクショナルニードルRFでは(ポテンツァ、シルファームなど)などがあります。剣山様の針で構成されており、針を刺入後、RFを真皮に直接伝えることが可能となります。針は絶縁されているため、RFによる熱損傷は針の先端以外では発生しないため、表皮は熱から保護されます。アブレーティブレーザー、ノンアブレーティブレーザーとは異なり、針の深さを変えることで、基底層や真皮のさまざまな深さで熱損傷を加えることにより様々な治療目的でのが可能となります。

ローリング型

特徴

  • 皮膚が波打つように滑らかな陥凹を示す
  • 真皮からSMASにかけ皮下組織内に線維性の帯状瘢痕が形成され、皮膚が引きつれている状態
  • 真皮深層での組織損傷が原因であり、表面からのアプローチだけでは改善しにくい
  • 脂肪萎縮を伴う場合はヒアルロン酸や脂肪注入、レニスナ(PDLLA製剤)の併用がより効果的

主な治療法

サブシジョン

皮下の線維組織を切断し、瘢痕の引きつれを解消することにより効果を発揮します。瘢痕部のボリューム減少を伴う場合は脂肪やヒアルロン酸、PDLLA(レニスナ)などを注入することでボリュームの回復を図ります。フラクショナルレーザーなどと併用することでより肌の質感の改善に効果的と考えられています。

フラクショナルレーザー

CO2レーザーやエルビウム(Er:YAG)レーザー、ピコレーザーを使用し、熱エネルギーや衝撃波による空砲形成によって皮下に損傷を与え、創傷治癒過程を促し皮膚のリモデリングを促進します。

マイクロニードリング(ダーマペンやダーマローラーなど)

専用の細かい針を使って皮膚に微細な損傷を与え、自然なコラーゲン生成を促進します。浅いボックスカー型の治療に適しています。

フラクショナルニードルRF

フラクショナルニードルRFでは(ポテンツァ、シルファームなど)などがあります。剣山様の針で構成されており、針を刺入後、RFを真皮に直接伝えることが可能となります。針は絶縁されているため、RFによる熱損傷は針の先端以外では発生しないため、表皮は熱から保護されます。アブレーティブレーザー、ノンアブレーティブレーザーとは異なり、針の深さを変えることで、基底層や真皮のさまざまな深さで熱損傷を加えることにより様々な治療目的でのが可能となります。

参照

1) Carolyn I. Jacob et al. Acne scarring: a classification system and review of treatment options. J Am Acad Dermatol. 2001 Jul;45(1):109-17.

Gabriella Fabbrocini et al. Acne Scars: Pathogenesis, Classification and Treatment. Dermatol Res Pract
. 2010:2010:893080.