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TCAクロス

TCAクロスとは

TCAクロスはTrichloroacetic Acid Chemical Reconstruction of Skin Scarsのことをいいます。クロス=「皮膚の傷跡の化学的な再構築」を意味します。高濃度のトリクロロ酢酸(TCA)をニキビ跡の萎縮性瘢痕に局所的に塗布し、皮膚の創傷治癒過程を活性化させることで、萎縮性瘢痕(特にアイスピック型、ボックスカー型のニキビ跡のクレーター)を改善する治療法になります。TCAは強いタンパク質の変性作用を持つため、皮膚のリモデリングを促進し、真皮層の線維芽細胞の活性化を促します。

当院で行う「石井式ニキビ跡治療」はTCAクロスにローリング型を合併している場合では「サブシジョン」、ボリュームロスを伴う場合「ジュベルック・ジュベルックボリューム」、リモデリングを促進するため「ピコフラクショナル」、瘢痕組織除去が不十分な場合では「炭酸ガスレーザー アブレーションやフラクショナル」などを組み合わせながらコンビネーション治療を行っていきます。

ジュベルック・ジュベルックボリュームはこちら

ピコフラクショナルはこちら

サブシジョンはこちら

炭酸ガスレーザーによるアブレーションとよく比較されることも多い施術となり、TCAクロスと炭酸ガスレーザーによるアブレーションの比較はこちらになります。

TCAクロスと炭酸ガスレーザーによるアブレーションの比較

TCAクロスの4 STEP

TCAクロスは瘢痕組織の変性による除去と線維芽細胞活性化によるコラーゲン生成と真皮リモデリングによって効果を発揮します。

STEP 1 TCAクロスが適応となるニキビ跡とTCAの塗布

アイスピック型:深く鋭い陥凹を伴う瘢痕
ボックスカー型:角ばった陥凹のある瘢痕

アイスピック型が1番の適応となります。

ローリング型瘢痕に対する効果は乏しく、サブシジョンやボリュームロス時はジュベルックやジュベルックボリュームが適応です。
※瘢痕が混在しているような鼻の強い毛穴の開きも適応がありますが、酒さ鼻の場合では逆に悪化させてしまうことがあり注意が必要です。

ニキビ跡のクレーターの分類はこちら

塗布方法

これらの適応のあるニキビ跡へ塗布を行います。肌の乾燥が強いと、シワに沿って毛細管現象を起こしTCAが拡大してしまうことがあります。施術者により塗布の技量に大きな差があり効果も大きな差が出ます、悪化のリスクもあるため習熟した医師が行う必要があります。

最適な濃度

最適な濃度を決定するためには、肌の状態だけでなく施術歴や既往症も重要な要素となります。濃度が低すぎると効果が乏しく、高すぎると赤みが数カ月残ってしまうことやニキビ跡が悪化してしまうことがあります。施術後の赤みの残り方や効果から、濃度を都度調整していきます。

STEP 2 高濃度TCAによるタンパク凝固作用とフロスティング現象

TCAは強酸で、タンパク質を変性する働きがあります。当院でのTCAクロスでは40~80%の濃度を使用します。これをクレーターの底部に塗布をすると、塗布直後から白色変化(フロスティング現象)が発生します。フロスティングは角質全層から真皮層のタンパク質がTCAと化学反応を起こし、タンパク質が凝固変性を引き起こすことによって白色の沈着物を生じた状態といわれています。この治療法は、フラクショナルやニードリング(ダーマペンやダーマローラー)などと異なり、局所での治療に限定することで真皮層に強い再生を促す刺激を与え、強力にリモデリングを促す治療となります。

クレーター周囲にある瘢痕組織がTCAにより変性することで瘢痕組織の除去効果も期待できますが、瘢痕組織の除去についてはレーザーで正確に蒸散させる炭酸ガスレーザーのアブレーションの方がより高い効果が期待できます。一方で、瘢痕組織が多い場合では炭酸ガスレーザーでの過度な組織除去によりクレーターを悪化させたり瘢痕化で肌質が変化してしまうことがあります。

STEP 3 瘡蓋の形成と再上皮化による脱落

施術直後〜数時間は薬液を塗布した直後のフロスティング(タンパク質の凝固変性)が起こります。その後、数十分から数時間でフロスティングが落ち着き、強い赤みや局所的な腫れに変わります。

1~3日後に、凝固した組織と浸出液が徐々に乾燥し、茶褐色から黒褐色の小さな瘡蓋が形成され始めます。5〜10日後: 患部の下で上皮化が進み、洗顔などの際に自然に瘡蓋が剥がれ落ちます。長いと2週間程かかる場合もあります。

TCAクロス後、約1~2週間の間に基底細胞の増殖とケラチノサイトの遊走による再上皮化を経て、新しい皮膚へと置き換わります。また、TCAによる皮膚の収縮効果により、クレーターの輪郭が引き締まり、瘢痕の縮小効果が期待できます。TCAクロスは小さいニキビ跡ではTCAが塗布後周囲に広がってしまうことで、クレーターの陥凹は浅くなってもクレーターそのものが大きくなることがあります。

STEP 4 コラーゲン生成と真皮のリモデリング

TCAによる皮膚のダメージは真皮層の線維芽細胞を刺激することで、コラーゲン産生を促進し、クレーターの陥凹部分が徐々に持ち上がります。創傷治癒過程(炎症期・増殖期・成熟期)を経て、最終的に新しい皮膚組織の再構築を促していきます。

炎症期(施術直後〜数日)

組織の損傷に対してマクロファージなどが集まり、サイトカインや成長因子(TGF-βなど)を放出します。コラーゲン生成はまだ行われていません。前段階の準備期間であり、患部の赤みや腫れ、TCAによる瘡蓋形成が起こる時期となります。

増殖期(数日〜約4週間)

放出された成長因子のシグナルにより、線維芽細胞が患部に遊走・増殖します。線維芽細胞が主に「III型コラーゲン」を活発に産生し始めます(肉芽組織の形成)。このIII型コラーゲンは初期の骨組みとして急速に作られるため、施術後2週間〜4週間頃がコラーゲン産生量そのもののピークとなります。血管内皮細胞の遊走により血管新生が促進され、毛細血管がつくられ、ケラチノサイトが遊走し、表皮の再上皮化が進みます。

成熟期 「リモデリング期」(約3〜4週間後〜数ヶ月~1年)

急増造されたIII型コラーゲンが、より強固で太い「I型コラーゲン」へと徐々に置き換わり、架橋されることで再構築が進みます。脆弱だった毛細血管が血管網を形成します。

効果実感のタイムラグ

瘡蓋が剥がれた直後(1〜2週間後)は、患部はまだ増殖期の真っ只中であり、強い紅斑(赤み)があり、瘢痕の凹み自体の改善(底上げ)はまだ視覚的に分かりにくい状態のため「悪化した」と思われる方が多く、強いストレスから治療の継続が難しくなることがあります。

視覚的な改善時期

実際にコラーゲンがI型に置き換わり、アイスピック型やボックスカー型瘢痕が「浅くなった」と実感し始めるのは、リモデリングが進む「施術後1ヶ月〜3ヶ月目以降」となります。2回目の施術として4~8週間後を設定させていただいている理由としては、赤みの残り方や効果をしっかりとみて、濃度の調整や他施術でのアプローチの必要性を判断する目的もあります。

治療の頻度と期間

通常、4~8週間の間隔で3~5回の施術を行います。高濃度のものを初回から使用することでタンパク質の変性が強く出現してしまい、クレーターの悪化や赤み長期間残存してしまう可能性があります。濃度、塗布量、反応時間はフロスティングの程度や肌の経過を見ながら次回の施術時に調整を行い最適な濃度を決めていきます。効果実感としては、複数回行った後(特に3回目)からより効果が実感できるようになります。

施術の流れ

① 施術前の準備

当院ではふき取りのメイク落としを使用し日焼け止めや化粧等を落とします。クレンジングでの洗顔により過度に皮脂が落ちてしまい強い乾燥状態となってしまうと、毛細管現象によりTCAが周囲に拡がってしまうことを防ぐためです。

施術直前に消毒を行います。アセトンを使用し皮脂を拭き取る場合もありますが、当院では必要に応じてエタノールでふき取りを行います(エタノールが合わない方はお知らせください)

② TCAの塗布

診察により濃度を決めていきます。当院では40~80%を使用しております。TCAをクレーター底面に塗布をしていきます。塗布直後から独特のピリピリとした痛みを感じます。塗布と同時にフロスティングが発生したことを確認し、しばらく反応をさせた後にTCAをふき取ります。TCA塗布後から数分間で痛みはほぼ消失をしますが、じんじんと痛みが長引くこともあります。
施術後に施術部位を保護するためにワセリンを塗布する場合があります。

Q: TCAの濃度の決め方とフロスティングのふき取るタイミングは?

フロスティングの色調により深達度はある程度予測できるといわれています。レベルⅠといわれる、うっすらとした白色変化で下の紅斑が透けて見える状態は表皮層レベルでの反応で肌質改善やキメを整える効果が期待されます。レベルⅡといわれる、均一な白色変化でうっすらと紅斑が観察できる白色変化は真皮乳頭層レベルでの反応でクレーターの改善効果が期待されます。レベルⅢといわれる、真っ白な白色変化は真皮乳頭層より深いレベルでの反応となり、濃度や反応時間が上がることでより深部進達しアイスピック型などの深いクレーターの改善効果が期待できます。クレーター治療へはレべルⅡ以上の深達が必要といわれています。瘢痕が強い部位ではレベルⅡまでしか達成しないともいわれています(薬剤が深達しにくいです)。施術者による濃度の決定、塗布方法や量、反応時間には経験によるところも大きく、習熟した医師による診察と治療が重要となります。

③ 施術後の経過

施術部位に白色変化(フロスティング)が生じます。数十分から数時間でフロスティングは落ち着き、その後に瘡蓋が形成されます。

瘡蓋は5~7日程で自然に剥がれますが、その間は日焼けや摩擦は極力避け、無理に剥がさないように気を付けます。無理に剥がしてしまうと炎症後色素沈着や感染、瘢痕化のリスクが高まります。かさぶたとなった後はメイクが可能となりますがクレンジング時は擦ってかさぶたを剝がさないよう気を付けてください。

痂疲がはがれた直後は強い炎症のため、強い赤みを帯び組織の変性凝固のため深くなってしまっていることもあります。深いクレーターへの治療のため高濃度を使用する場合などでは、真皮網状層といわれる乳頭層より深いレベルでの凝固変性のため「ディープピーリング」といわれる状態となることがあります。この状態では上皮化まで10~14日程を要します。浸出液が出るためジュクジュクとした施術部位となるため、上皮化まで軟膏を使用した湿潤療法を行います。

3~4週間で瘢痕部分が徐々に持ち上がり、改善していきます。コラーゲンの生成は数週間~数か月続くといわれています。赤みは数週間程で徐々に改善していきますが、長いと半年や1年続くことがあります。

期待される結果とリスク

効果と限界

ピンポイントの深い瘢痕(特にアイスピック型)やアイスピックまでは深くないものの、ニキビ跡として毛包周囲で瘢痕化した強い毛穴の開きとなった状態に効果を発揮しますが、赤みなどのダウンタイムが長いため施術を行う部位については許容できる部位で行う必要があります。

炭酸ガスレーザーに比べて低コストでの施術となります。瘢痕組織の除去といった正確性は炭酸ガスレーザーのアブレーションの方が高いですが、炭酸ガスレーザーでの治療は組織を除去するかしないかのため、瘢痕組織が多い場合過度に除去をし肌質が変わってしまったり、悪化することもあります。TCAクロスは最適な濃度調整を行うことで、瘢痕組織の除去と深部への深達によるコラーゲン生成で白色瘢痕として残るリスクを抑えつつ凹みを改善することが可能です。

TCAクロスの塗布方法、薬剤濃度の決め方、反応時間の調整には習熟した医師による診察と治療が必要となります。特に初回で高濃度のものを使用することで悪化や赤身が長引いてしまうことがあります。

肌に対して使用する薬剤濃度が高いと「ディープピーリング」といわれる深達度のより深いピーリングの状態となります。高い効果が期待されるものの、瘢痕形成や施術後の合併症のリスクが高まるため、紫外線対策や軟膏での保護といったケアをしっかりと行う必要があります。

施術後の注意点と副作用、リスク

長いダウンタイム

施術部位では直後、白色変化(フロスティング)が生じます。数時間~数日でフロスティングは一度消失をし、その後に痂皮(黒いかさぶた)が形成されます。痂疲は1週間程で自然に剥がれますが、その間は日焼けや摩擦は極力避け、無理に剥がさないように気を付けます。

痂疲がはがれた後はたんぱく質の変性により陥凹が悪化し赤みを帯びた状態となります。3~4週間で瘢痕部分が徐々に持ち上がり、改善していきます。コラーゲンの生成は治療後3か月程続くといわれています。赤みは数週間程で徐々に改善していきますが、深達度が深い場合などの理由で長いと半年程つづくことがあります。

副作用、リスク
  • 強い炎症による炎症後色素沈着
  • 色素脱出(元々成熟瘢痕のため、白く抜けていた状態のものが気になってくる場合もあります)
  • クレーターの悪化(より深くなってしまう)、拡大(クレーターが大きくなってしまう)
  • 過剰な瘢痕組織の形成(過剰なTCA塗布による肥厚性瘢痕やケロイド)
  • 赤みの残存(TCAクロス後の毛細血管網が目立ってしまう)
  • 感染(表在性細菌、真菌など)

などがあります。

まとめ

TCAクロスは、トリクロロ酢酸の強力なタンパク凝固変性作用を利用し、皮膚の再生を促進するニキビ跡治療法です。線維芽細胞を刺激し、新しいコラーゲンの生成を促すことで、萎縮性瘢痕の陥凹部分を持ち上げ、肌の質感を改善します。高濃度のTCAを局所的に適用することで、瘢痕にピンポイントで作用し、皮膚のリモデリングを効率的に進めることができます。

ただし、1回の施術では効果が限定的であり、複数回の治療が必要です。また、施術後の適切なアフターケアが重要であり、日焼け対策や保湿を徹底する必要があります。他の施術と比べると、ダウンタイムが長く、ハイリスクハイリターンの治療となります。

施術に習熟した医師によるTCAクロスの治療が効果を最大化し、リスクを可能な限り抑えるのに重要な要素となります。ニキビ跡に悩んでいる方は、TCAクロスを含む複数の治療法を組み合わせることで、より効果的な結果を得ることが期待されます。

当院で使用するTCAについて

未承認医薬品等

TCAは医薬品医療機器等法上、未承認医療機器です。

入手経路等

国内卸会社から国内製造されたトリクロロ酢酸の結晶を購入し蒸留水で希釈し使用しています。

国内の承認医薬品等の有無

同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品はありません。

諸外国における安全性等に関する情報

諸外国において、重大なリスクや副作用などが明らかになっていない可能性があります。

医薬品副作用被害救済制度について

万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

参考

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