陰部のできもの

陰部のできもの

「陰部」は、外生殖器を指す言葉になり、男性と女性で違いがあります。男性では「陰茎、陰嚢」、女性では「陰核、大陰唇、小陰唇」を指します。

陰部のできものは、生理的な変化でできた問題のないものや、性感染症など病気でできることがあります。できものの種類によっては放置することで病状が進行してしまうこともあります。また、痛みや痒みなどのできもの以外の他の症状を伴うものから、できものだけの場合と原因により様々な症状があります。

できものの種類

尖圭コンジローマ

性感染症の１種です。感染約 3か月後ほどで、男性では亀頭、陰茎など、女性では会陰部や陰唇などに乳頭状の丘疹（できもの）ができます。痛みや痒みはないですが、経過とともに数が増えていき、大きくなることがあります。

初期硬結（梅毒）

梅毒感染後10～ 30日で感染した部位に出現する固い丘疹（できもの）。初期硬結が破れ潰瘍化したものを硬性下疳といいます。鼠径部のリンパ節が腫脹するすることがあり、できものは痛みも痒みもありません。細菌を多数含み、感染性が高いです。

扁平コンジローマ（梅毒）

感染後 3か月後にバラ疹に次いで現れることが多い、梅毒２期の丘疹です。口、肛門周囲、陰部周囲、脇の下などに生じ、上部が平らで滑らかな扁平に隆起した薄い紅色～灰白色の分泌物を伴ういぼで痛みや痒みはありませんが、細菌を多数含み、感染性が高いです。

性器ヘルペス

初感染と再発では症状が大きく異なることが多いです。感染2～ 10日後に、女性では大陰唇、小陰唇、腟前庭部、会陰部、男性では亀頭部や陰茎体部などの外性器に多数の水疱性病変が出現し、その後破れ潰瘍化します。初感染ではリンパ節腫脹や発熱が出現し、尿道感染をおこしていると強い排尿時も伴います。再発では症状は比較的軽度で、水疱も数個と限局することが多いです。

水いぼ（伝染性軟属腫）

感染 2週～ 6か月後に、粟粒大～大豆大程の大きさで中心が凹んだドーム状の、表面平滑で光沢がある丘疹ができます。痛みやかゆみはほとんどありませんが潰すと白い物質が出て周囲に感染が広がることがあります。

疥癬

ヒゼンダニが皮膚に寄生することにより発症します。疥癬は通常、身体的な接触によって人から人に直接触れるもしくは寝具を介して感染をします。顔を除く、手指の間、手首、肘の内側、わきの下、乳房、陰茎など体のあらゆる部位に生じ、激しいかゆみを伴う細かい丘疹ができます。治療にはイベルメクチンの内服が行われます。

真珠様陰茎小丘疹（pearly penile papule）　：男性

陰茎冠状溝に沿ってできる、小さく（1mm前後）、白色からピンク色、または肌色の隆起のことをいいます。真皮内の血管増生と線維化のため、生理的な変化の無害なもののため、性感染症や癌ではありません。通常、痛みやかゆみなどの症状もありません。

フォアダイス（Fordyce）：男性

陰茎に径１mm 大ほどの白色小結節が多発し、集合したものです。皮脂腺の増殖によるもののため、生理的な変化となり、無害なものです。

脂漏性角化症
老人性疣贅とも呼称される。加齢に伴って生じる過角化と表皮細胞の増殖からなる良性腫瘍で、単発あるいは多発する。常色から褐色、時に黒褐色調を呈し、表面は疣状である。液体窒素凍結療法により容易に除去しう
る。

そのほか、陰部、腋窩、肛門周囲などの皮膚に発生するアポクリン汗腺の細胞ががん化することで発生する乳房外パジェット病では初期は湿疹や水虫と間違われることがあるものの外用薬で改善せずかゆみを伴いません。HPVの16型が原因となり、成人の外陰部に常色から黒褐色調の扁平隆起性丘疹が多発するボーエン様丘疹、外陰部の痛みを伴う潰瘍や皮膚のしこりができるベーチェット病などがあります。