ドキシペップ(Doxy-PEP)「自費診療」

ドキシペップは性感染症予防薬といわれています。ドキシサイクリン200mg(100mgの錠剤を2錠)を性行為のあと72時間以内に内服をする方法です。特定の性病に効果が高いといわれていますが、全ての性感染症を予防できる方法ではありません。性行為後できるだけ早く(できれば24時間以内に)内服することが理想的といわれていますが、72時間以内であれば原因菌の増殖が感染を引き起こすほど増える前の状態のため感染を予防する効果が期待されます。
性病予防に効果のある疾患は梅毒、クラミジア、淋菌になり、予防確率は梅毒で87%、クラミジアで88%、淋菌で55%と報告をされています。72時間を経過しての内服は予防できる可能性は低いため、検査での感染の有無の確認が必要です。ドキシペップを内服したからといって完全に性病の感染を予防するものではないため、感染の可能性のある場合は都度もしくは定期的な検査が必要となります。
淋菌感染による淋病予防効果は梅毒やクラミジアと比べると低く、30~40%の予防効果のある淋病予防ワクチン(Bexsero)との併用によって、より高い予防効果が期待できます。

-
性病かもしれない症状が出始めてから飲んでも効果はありますか?
-
症状が出始めた後は感染が成立し発症してしまっている可能性が高いため、予防薬の内服ではなく、感染の有無を調べる検査と陽性時の治療が必要となります。
-
3日間連続で感染の可能性のある行為をするのですが毎日内服する必要がありますか?
-
内服の間隔は30時間空ける必要があります。最初の行為から72時間以内であれば、都度内服しなくても効果が期待できます。
-
緊急避妊薬(レボノルゲストレル)との併用はできますか?
-
ビブラマイシンの添付文章上、併用注意の薬剤に経口避妊薬があります。「腸内細菌叢を変化させ、経口避妊薬の腸肝循環(腸から吸収され肝臓を通り代謝されて全身にめぐる)による再吸収を抑制すると考えられ、経口避妊薬の効果を減弱させるおそれがある」とあります。一方、レボノルゲストレルの添付文章上にはビブラマイシンを含むテトラサイクリン系との併用注意には記載はありません。
併用は可能ですが、定期的にビブラマイシンの内服をしているなどで腸内細菌叢が変化している場合は効果に影響を及ぼす可能性があります。
注意点
ピルの併用によりピルの効果が減弱する可能性があります。
ドキシサイクリンによる副作用が出現する可能性があります。腹痛・下痢・吐き気・食欲不振などの消化器症状がおきやすいといわれています。また、腸内細菌叢やその他皮膚や膣内細菌叢の乱れなどを起こすことがあります。
テトラサイクリン系の抗生剤への薬剤耐性菌が出現する可能性が高まります。薬剤耐性菌が出現してしまうと、治療が効かなくなり治療に難渋したり、感染が拡大するリスクがあります。
完全な予防効果があるわけではありません。定期的な検査を行い、感染時はしっかりと治療を行い体内から病原菌を排除する必要があります(保菌した状態で抗菌薬の使用を繰り返すことで耐性化する可能性があります)。
ドキシペップ内服後、次のドキシペップ内服は30時間空ける必要があります。日常的に性病に感染するリスクのある方は2日に1回のペースで内服可能ですが、長期の内服で薬剤耐性菌が出現する危険性があります。また、細菌叢の乱れで偽膜性大腸炎やカンジダ膣炎など発症する可能性があります。
妊娠中や授乳中の方は、胎児へ影響が出る可能性があるため、ドキシペップの内服は避けた方がよいと考えられています。
テトラサイクリン系は「アルミニウム、マグネシウム、鉄、カルシウム」を含む薬剤やサプリと一緒に内服をすると吸収が低下するため、2時間以上間隔を空ける必要があります。
性病の感染を防ぐためには適切なコンドームの使用がが大変重要となります。
費用について
ドキシペップの処方は自費診療となります。
参照
CDC 細菌性性感染症予防のためのドキシサイクリン曝露後予防法に関する臨床ガイドライン(米国、2024年)https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/73/rr/rr7302a1.htm?utm_source=chatgpt.com