ピーリングとは?「作成中」
肌の表面にある古い角質を薬剤を使用し除去をすることで肌のターンオーバーを整え、ニキビやくすみなどを改善する施術となります。薬剤の種類や濃度の違いにより皮膚深達度が異なるため、角質ケアや真皮層のコラーゲン新生による毛穴やニキビ跡のケアなど肌トラブルの改善が期待できます。主に用いられる薬剤としては、「グリコール酸」「サリチル酸」「トリクロロ酢酸」があります。最近では「リポヒドロキシ酸(カプリロイルサリチル酸)」を主成分としたピーリングも登場しています。
各薬剤の特徴になります。
主な成分 | 特徴 | |
AHA(αヒドロキシ酸) | グリコール酸、乳酸、クエン酸、マンデル酸、タルトル酸など | 水溶性で分子量は小さい。皮膚表面の角質を溶かす効果があり、分子量が小さいため浸透力が強く、高濃度では真皮層へも深達をする。 |
BHA(βヒドロキシ酸) | サリチル酸 | 脂溶性のため毛穴の皮脂詰まりや皮膚表面の角質を溶かす効果が高い。皮膚の深部に深達しやすい。 |
PHA(ポリヒドロキシ酸) | グルコノラクトン、ラクトビオン酸など | AHA由来の化合物で分子量が大きいため角質層にとどまり、肌に浸透しにくい。表面の角質のみへの作用のため敏感肌でも使いやすい |
LHA(リポヒドロキシ酸) | ー | 弱酸性、脂溶性、分子量が大きいため低刺激で肌の表面に作用し角質を溶かす効果や毛穴の皮脂詰まりへの効果がある。 |
TCA(トリクロロ酢酸) | ー | 腐食性のある強酸性の酸で濃度による皮膚の深達度の違いから様々な使用用途がある。 |
グリコール酸
AHAのピーリングのうち代表的なグリコール酸を用いたピーリングとなります。グリコール酸は表皮にある角質細胞どうしを結び付ける「コルネオデスモソーム」を分解促進することによる角質剥離作用になります。効果はpH, 濃度, 作用時間により左右され化粧品からエステでの使用、医療機関での使用と様々な使われ方があります。
医療機関で使用される濃度は10%~50%が多く、20~35%では角層や表皮層まで浸透し、50~70%では真皮浅層まで浸透するといわれています。高濃度(30% 以上)、低 pH(2 以下)ではびらんやかさぶた(痂疲)形成などの危険性が高いといわれているため、効果や肌の状態を見ながら低濃度から開始をし徐々に濃度を上げて最適な濃度で継続をしていきます。
グリコール酸のピーリングは真皮浅層まで深達する薬剤を使用することで、線維芽細胞を活性化させ皮膚のリモデリングを促す効果が期待できます。
サリチル酸マクロゴール
BHAはサリチル酸ともいわれています。ピーリング効果の高いサリチル酸にマクロゴール(肌の保護効果の高い成分)を組み合わせたピーリングとなります。濃度は顔で一般的に30%のものが使用されます。マクロゴールは水溶性の基材ですが、サリチル酸との親和性が高い製剤のため、本来であれば深部に深達しやすいサリチル酸の深達を抑え、皮膚の浅い層(角層、表皮層)へ作用をし、血中へサリチル酸が吸収されにくくした安全性の高いピーリング剤となります。サリチル酸自体は脂溶性で皮脂に近い特徴をもち、毛穴の皮脂詰まりを溶かし除去することでピーリング効果とともにニキビやつまり毛穴の改善効果が期待できます。
サリチル酸をベースとしたピーリングには他にサリチル酸エタノールやサリチル酸ワセリンがあり。サリチル酸エタノールは脂腺から血中へサリチル酸が吸収されサリチル酸中毒の危険性や、皮膚の深部に薬剤が浸透してしまう危険性があるため使用をするクリニックは少ないです。サリチル酸ワセリンはワセリンを基材とした軟膏でイボの治療などに使用されます。ワセリン中にサリチル酸の結晶が溶解した部分と結晶のまま存在する部分があるため、サリチル酸が経皮的に吸収されてしまうため使用することが不適となります。
サリチル酸マクロゴールのピーリングによる刺激が真皮に及ぶことで真皮の線維芽細胞を活性化させ皮膚のリモデリングを促す効果が期待できます。
リポヒドロキシ酸
LHA(リポヒドロキシ酸)を含むピーリング剤になります。主な商品としては「ララピール」「プラピール」「ララドクター」などがあります。「ララピール」「プラピール」はエステでも使用可能な商品となり、「ララドクター」は医療機関専用製品となります。「プラピール」はLHA+PHAのピーリング剤となるため、別項目で触れていきます。
ララピール
ララピールは「LHA」「P-Sol」「Lipids」を組み合わせた製剤となり、強い「剥離効果」ではなく、マイルドなピーリング効果と真皮層へのアプローチ、皮膚の保護をメインにしたピーリング剤になり、エステでの施術も行われています。
LHAは弱酸性、脂溶性、分子量が大きいという特徴から皮膚へは低刺激で肌の表面に作用することで角質をマイルドに溶かす効果や毛穴の皮脂詰まりへの効果があります。
P-Solはアルカリ性の物質で浸透力があり、線維芽細胞に働きかけることでコラーゲンやエラスチンの生成を促す効果が期待できます。
Lipidsは角質層の脂肪間脂質に似たリン脂質です。ダメージを受けた皮膚を保護する効果が期待できます。
ララドクター
ララピールでも含まれている「LHA」「P-Sol(H2-Sol)」「Lipids」に加えて「QPT」「Calcium」「INCUBE501」「INCUBE701」を加えた製剤となります。ララピールに加え、以下の効果が期待されています。
INCUBE501は炎症を抑制することで傷の治癒効果と自然再生を促進します。INCUBE701はPLLA粒子コラーゲン生成促進と皮膚再生効果。QPTによりレーザーやLEDなどの機器と組み合わせることでのシナジー効果。Calciumは皮膚の炎症を抑え、回復力を高めることで回復力を高めバリア機能を強化。
LHA+PHA
LHAとPHAを組み合わせたピーリング剤にプラピール(プラチナムピーリング)という製剤があります。ララピールで使用されるLHA、プラチナ(白金)、PHAのポリヒドロキシ酸を組み合わせた製剤となります。
プラピール
プラピールは「LHA」「PHA」「プラチナ」を中心に様々な有効成分を組み合わせた製剤となり、エステでの施術も行われています。
LHAは弱酸性、脂溶性、分子量が大きいという特徴から皮膚へは低刺激で肌の表面に作用することで角質をマイルドに溶かす効果や毛穴の皮脂詰まりへの効果があります。
PHAはAHA由来の化合物で分子量が大きいため角質層にとどまり、肌に浸透しにくいという特徴から刺激の少ないピーリング剤となります。ヒドロキシル基を多く含むため、水分を引きよせる働きから保湿効果が期待されます。
プラチナは強力な抗酸化作用を有し、活性酸素による肌の老化を抑制する効果が期待されます。
TCA(トリクロロ酢酸)
トリクロロ酢酸は腐食性のある強酸性の成分で、使用したピーリングはその濃度により深達度が異なるという特性を利用し、高濃度では瘢痕組織の腐食と、真皮へ深達し線維芽細胞を強力に活性化させるTCAクロスといったニキビ跡の陥凹治療に使用され、低濃度では表皮の剥離と真皮の線維芽細胞を活性化させたピーリングとなります。10~ 20%トリクロロ酢酸では表皮の基底部付近、35~ 50%トリクロロ酢酸では真皮層まで深達をするといわれています。TCAクロスでは50~100%の高濃度を使用することでより強い腐食効果と深達効果により治療を行います。
バイオリピール(ミラノリピール)
バイオリピールは角質のピーリング効果に加え、真皮層に作用してコラーゲンを生成させるピーリング治療です。
5種類の酸「TCA、PHA(ラクトビオン酸)、BHA(サリチル酸)、AHA(タルトル酸=酒石酸、クエン酸」が配合されているピーリング製剤となります。
マッサージピール
マッサージピールは角質のピーリング効果に加え、真皮層に作用してコラーゲンを生成させるピーリング治療です。「トリクロロ酢酸(TCA)」、「過酸化水素」、「コウジ酸」を配合した「PRX-T33」という薬剤が使用されます。